Rockon Social Club、初ワンマンで魅せた破格の“新人バンド”としての風格

メンバ―紹介でオーディエンスに問いかけた寺岡呼人のこんな一言が、このライブの特別さを物語っていた。

「今日、歴史的な瞬間に立ち会っているような気がしませんか?」

おそらく今日のショーが始まる前から誰もが感じ取っていたこの“特別感”が、もはや予感ではなく実感としてあることにこの時点で疑いの余地はなくなっていた。そしてそれは、オーディエンスだけではなく、メンバーも等しく感じているというところがよりライブの熱狂となってステージとフロアを一体化させる。



後半は、安易に社会の風潮に流されることにNo!と中指を立てる「ヨッテタカッテ」、ラテングルーヴに体を火照らせる「Te quira mucho」と、バンドの音楽性の幅広さが感じられるナンバーで駆け抜けた。「ヨッテタカッテ」では前田耕陽もショルダーキーボードでステージ前ツラに出てきて、全員揃ってオーディエンスとのコール&レスポンスを楽しんだ。

本編ラストは「パズル」。当初は成田昭次のソロプロジェクトの楽曲としてリリースされたものだったが、男闘呼組のメンバー4人を結びつけ、再びバンドへと突き動かす原動力となった。これは深読みに過ぎないが、この楽曲の制作者であるプロデューサーの寺岡には、この日の絵がおぼろげながらにでも見えていたのではないだろうか。成田だけの歌声から自然な形で歌い分けがなされ、これはもう最初からこうだったのではと、そんなことを思わずにはいられないほど、すべてのことが完璧な形で誰もの胸にぴったりと収まっていった。

アンコールで登場したメンバーはなんとエプロン姿に! 

「昨年の夏に昭次くんと健一くんとご飯を食べたときに、もし男闘呼組のメンバーでツアーをやることがあったら、アンコールに「ただいま」って曲があったらいいんじゃない?って話をして。それに対してお客さんが“ただいま”って言ってくれるような」(寺岡)

「じゃあ、本当はエプロンするのはお客さんなんだ」(岡本)

30年ぶりに愛する者のもとに帰ってきた男の歌が、アカペラによる多重コーラスというのが心憎い。楽器を持たず、一語一語を語りかけるように歌う姿が、そして“ただいま”“おかえり”のコール&レスポンスが、心に染みた。

「Rockonは始まったばかりですけど、これから50、60、喜んで、70、80、ハッピーで、90、100はパラダイスで!いつまでも元気で一緒にRockonしようぜ!」(成田)

ラストは「遥か未来の君へ」。これから、この“新人バンド”がどんな夢を見せてくれるのか、楽しみだ。

文:谷岡正浩



セットリスト
KURE 5-56 PRESENTS ROCKON SOCIAL CLUB 1988
OP. Rockon Social Club
1. Foxy Lady
2. Rolling Thunder Baby
3. BACK IN THE CITY
4. 無題
5. 目で見ちゃだめさ
6. ANGEL
7. Love Again
8. 自分勝手
9. ヨッテタカッテ
10. Te querra mucho
11. PARTY
12. パズル
ENCORE
13. ただいま
14. 翼をもがれた野郎ども
15. 遥か未来の君へ



<配信情報>

「KURE 5-56 Presents Rockon Social Club 1988」
視聴チケット料金:¥3500(税込)
アーカイブ配信:2023年5月13日(土)23:59まで
チケット販売:2023年5月13日(土)21:00まで
配信チケット https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2316895&afid=P05
お問い合わせ ぴあライブストリーム お問合せメール:event@linkst.jp(10時~18時)

Rolling Stone Japan 編集部

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