TAKUROが語る死生観、GLAYとして後世に残したい楽曲



田家:2021年4月に発売になった『ONE LOVE Anthology』から「君が見つめた海」。オリジナルの『ONE LOVE』は2001年11月に出た6枚目のアルバムでした。オリジナルアルバムが『NO DEMOCRACY』『FREEDOM ONLY』とあって、アンソロジーアルバムが『HEAVY GAUGE』『ONE LOVE』『UNITY ROOTS & FAMILY,AWAY』3枚あって、ベスト盤もあるという。ソロアルバム『The Sound Of Life』もあって令和になってから、5年間で7枚。

TAKURO:アンソロジーに関しては、完全に俺の趣味ですもんね。老後の楽しみシリーズとメンバーが言っていますけど、新しいビジネスモデルとして大成功したんじゃないかな。曲を作ってそのまま放置っていうのが大体のアーティストでしょうけど、自分自身の手で権利を手に入れたことによって、自分の責任のもと、いろんなことができる。事務所設立が2005、6年で、そこからいろいろと模索してGLAYを大事にしながらちゃんとした経済活動ができるにはどうすればいいか考えていたときに、自分の趣味だったGLAYのデモテープを聞きながら飲むっていう、それをファンの人たちと共有できたらと。

田家:ボックス版としてね。

TAKURO:アーティストがこれからもアーティストらしい活動をするために、経済的な意味でもしっかりしていかなきゃいけない。その中の一つがこのアンソロジーシリーズですね。曲をより理解してもらう。そして次なる活動のお金も生み出すっていう。本当にアンソロジーは僕の自慢のプロジェクトです。

田家:改めて「君が見つめた海」をTAKUROさんがどう思ってらっしゃるだろうと。

TAKURO:ちょっと切ないですよ。95、6年か。祖母が亡くなったんですけれども、僕は子供の頃から片親で家に誰もいなかったので、おばあちゃんと一緒に過ごすことが多くて。ついこの間、うちの息子とあなたのおばあちゃんはねって話す機会があって。どんな人だったかって聞くから、いろいろ思い出していくうちにいろいろ思い出しますね。本当に死ぬ間際に、生まれた町に帰りたいって。函館から2時間ぐらいの上ノ国っていうとこなんですけど。それがやたら印象的ですね。やっぱり人は最終的には生まれた場所に帰りたいものなのかなって。ある種の課題を僕に残して。あと最後は病院に入って徐々に弱っていく様、人が生まれて人が死んでいく様みたいなものをリアルに見せてくれたおかげで、死というものの考え方が明確になるというか。ただただ恐れるものではないっていうメッセージを残して旅立っていったので、あの辺から僕の死生観も変わった気もするし。

田家:『NO DEMOCRACY』『REVIEW II -BEST OF GLAY-』の中にあった「SAY YOUR DREAM」とか、TAKUROさんが書く曲の中に生と死みたいなものがずっと流れている。それが段々色濃くなってきているのは、そこから始まっている的なことがあるんでしょうか。

TAKURO:最終的に人間が一番興味があるものって、生き方と死に方じゃないですかね。

田家:そう思いますよ。

TAKURO:それをずっと考え続けて曲にしてきたので、息子からのおばあちゃんへのある種の質問みたいなものは、強力に生の輝きを見せてくれて。3歳4歳の俺に戦争が終わった日はこうだった、みんな外に出たらもう地面に膝ついておいおい泣いていたと。でも私は終わってやったと思ったと。すごくリアルだった。自分より先に、俺の親父である自分の息子を亡くすわけで。自分の子供が自分より先に死ぬことほど悲しみはないなと今は想像しているけれども、それを乗り越えていつも笑顔でしたからね。耐え難い悲しみだっただろうに、最後の最後まで優しい笑顔を残して生きてきた人だなって。その強さは何なんだろうとか。人間代表としてのおばあちゃんみたい人がいて、生の秘密みたいなものを生涯書いていきたい。喜びとか克服とか。そういったものが曲を書く強力な動機にはなっています。

Rolling Stone Japan 編集部

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