キム・ヒョンジュンが明かす、日本語でJ-POPを歌い続ける理由

ーSNSの発達もあり、今や韓国発のアーティストが海外で評価されることは珍しくなくなりましたが、キムさんが海外進出した頃はどうだったんでしょう?

僕にとっての初の海外進出の場は、2006年に日本武道館で行われたMnetJapanの開局記念イベントだったんですが、本当に大勢のファンの皆さんに温かく迎えて頂いたので、そのときは「今、何が起きているんだろう?」と思ったことを憶えています。当時はタブレットPCやスマホもない時代でしたから、そこで初めて「日本にこんなに多くのファンの皆さんが存在してくれているのか!」と知ったんですよね。本当に驚きましたし、その一方で「あ、僕にも海外で活躍することができるんだ。これから広い世界へ出ていけるんだ!」という希望を持つことができました。なので、初心にかえっていつかまた武道館のステージに立って、あれから成長してきた僕自身の姿を皆さんにお見せしたい。そう思うぐらい、僕のワールドワイドな活動において日本は思い入れのある場所になっています。

ーその日本も含め、韓国のエンターテインメントが世界中で愛されていることについては、どんなことを思ったりしていますか?

以前、香港映画が韓国で大人気で、アジア圏はじめ世界中を席巻していましたが、それを維持することはできませんでした。その理由は、ビデオからDVDやBlu-ray、動画配信と映像メディアの転換もありましたし、そうした時代の変化に対応できなかったこと。それが要因のひとつとしてあると思うんですよね。なので、今は隆盛のK-POPもこのまま満足して留まってしまうと、やがて退歩してしまうでしょうから、リスナーなど大衆の人々が求めるニーズ、その変化のスピードに合わせてどんどん発展して、成長していく必要があると思います。そうして高め続けていく意識が重要なのかなと。

ーなるほど。

ちなみに、J-POPシーンについても言及させて頂くと、やはり日本は独自の音楽スタイルがありますし、特にロックの基盤がとても強いと思うんです。ロックがちゃんと大衆化されていて、良いマーケットも存在している。その文化をずっと守ってきていると思うんですけど、そのおかげで僕も幼い頃から日本のロックをたくさん聴いてきました。最近でもGReeeeNやあいみょんさんなどよく聴いているんですが、やはり日本は日本ならではのロックがあるなと思いますし、それがすごく良いなと思うんですよね。なので、K-POPもそうですけど、日本のロックもこれからますます発展させていくことで、永遠に愛され続けていくんじゃないかなと思っています。

ーたしかに、日本は多くのロックフェスが長年開催され続けている国ですし、ロックの基盤は強い。ただ、それに負けじとK-POPをはじめとした韓国カルチャーも浸透し続け、近年は新大久保が渋谷や原宿に続く若者の街に化していたりと、また一段と爆発的な人気を誇っているなと感じます。

新大久保については僕も話に聞いているので、知っています。最初、僕が日本に来た頃は、韓流の第一次ブームだったんですが、その時点ではまだ新大久保は、韓国の人々や在日の人々が行き交う街という印象だったんですよね。でも、今や日韓の文化交流のセンターのような街になっている。それは、日韓の距離が文化的にそれだけ近づいたからなんだろうなと。日本の皆さんが韓国のものを認めて下さっている証なのかなとも感じていますし、同時に韓国の人々が日本のマーケットで絶え間なく努力してきた結果でもあると感じます。なので、今の新大久保に関しては、韓国や在日の人々が行き交うコリアンタウンというよりは、日韓交流の象徴的な場所になっているんじゃないかなと思いますね。

Rolling Stone Japan 編集部

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