2023年は「NEOギャル」でいこうぜ―EP『ジャジャーン』でいうと、5曲中3曲(他は「まるごと」「夢のはなし」)をScoobertと一緒に作ってますよね。彼が今のCHAIにハマるのはどういうところなんですか?マナ:彼の曲はね、素晴らしいんです。
カナ:本当にかっこいいんですよ。
マナ:最初、Spotifyのプレイリストで見つけて。ベースとドラムのバランスが素晴らしいし、音が強すぎないのがよくて。「あ、これ出したい音だな」と思って、Scoobertにすぐ連絡して、友達になって、あっちで何回も会ったりしたんだけど。それで一緒に曲作ってみたらすごくマッチして。
カナ:しかもまさかの日本の文化好きで。日本の音楽も好きで、日本の音楽のことも理解してくれる。あとアニメが大好きで、『幽☆遊☆白書』が大好き(笑)。
マナ:通ずる価値観があって、感覚で話ができるから同志って感じ。
―Sub Popの人に紹介してもらったとかじゃないんですね。マナ:全然(笑)。あれは見つけた。ピンときた! でもそういうことも海外に教えてもらったかな。アーティストがすぐつながるんだよね。海外のアーティストって、いいと思ったらすぐに連絡し合って、その行動力がすごく早い。一昨年私たちが出した「ACTION」という曲みたいに、行動を起こすことって本当に大事だなと思うからさ。それをこれからもやっていきたいなと思った。
―Sub Popとの制作環境はどうですか? 他のアーティストの話を聞くと海外のレーベルからは「とにかくプレイリストに入れる曲を完成させてくれ」みたいなオーダーが強いケースもあるみたいですけど、CHAIとSub Popのあいだで「こういう曲を作りましょう」みたいな会話はあるんですか。マナ:作る前はないんだよね。なんとなく曲の全体ができあがった時に、海外にいるプロデューサーのRyu(Takahashi)を通してSub Popの人に聴いてもらって「これがいいね」「こうやっていこうね」って会話したり。
カナ:そこはRyuが仕切ってやってくれてるかな。
マナ:どちらかというとSub Popは信じてくれてる、「CHAIは最高だから」みたいな。Ryuさんとはね、色々話すよ。細かいところまで全部。それこそツアー中に海外でずっと曲を作ってた時は、たとえばメロディの1音を下げるか上げるかまで話すから。だから1年かけて曲を作ってたりする。特に次のアルバムは長い期間かけて作って、ずっとずっとメロディが変わっていったから。そういう感じでずっとやりとりしてる。
Photo by Kana Tarumi―「ラブじゃん」というテーマ、歌詞については、どういう発想からでした?マナ:「NEOかわいい」というテーマも含めて、結局私たちって、すごく大きな愛の中で生きているんだなと思った。最初に「NEOかわいい」という言葉を作ったのも、目が小さいとかくびれがないとか、いろんなコンプレックスがあるけど、でもそれって全部自分に対しての愛だった。「NEOかわいい」は自分が言われたかったことだったから。みんなに対しての愛もある。お客さんがその場で自分たちを見て何かを感じてくれる愛も。お客さんがいるから、体も心もしんどくてもライブの準備をしようと思える。それも全部、クサいけど、愛だなと思って。海外のお客さん、みんなこうやってハートを作って(手でハートを作る)ラブを伝えてくれるの。
Photo by Kana TarumiPhoto by Kana Tarumi―ボディランゲージで。マナ:そう。日本語で言えない気持ちとか、コロナとかもあって、手で表現してくれるからすごく嬉しくて。それもツアーをする励みになる。今までCHAIはラブに対してはっきりと歌ったことはなかったの。正直ダサいと思ってたし。でもみんなでツアー中の車で色々考えた時に、「ラブじゃん」とか言って。
カナ:ユナが言ったんだよね。
ユナ:2023年のCHAIは「NEOかわいい」と「ギャル」をかけて「NEOギャル」でいこうぜみたいなマインドもあって、それもこの新しいEPには落とし込まれているんだけど。2023年のCHAIを強くする「ギャルマインド」が軸にあったもんで、出てきたフレーズだったんだと思う。
マナ:そこから、みんなで「あ、ラブじゃん!」って(笑)。それだったら愛をCHAIなりにポップに伝えられるかもしれないと思って、そのキーワードから曲を作っていった。
Photo by Kana TarumiPhoto by Kana Tarumi―「ギャルマインド」というものをCHAIはどう定義しているんですか?マナ:心の強さだね。
ユナ:そうだねえ。
カナ:芯の強さだね。
マナ:やっぱり私たちはギャルに憧れても見た目はギャルになれなかったから。でも心のギャルは自由なんだよ。だから私たちは常に強い心で「NEOかわいい」を掲げていきたいし、ラブも大きく持っていたい。