SZA独占インタビュー 「理想的な女性」になることをやめた理由

 
リゾとの共演、ロックソング制作の背景

―「F2F」についてですが、グッド・シャーロットやアヴリル・ラヴィーンに近いサウンドで、ロック色の強い作品となっていますね。リゾがボーカルとして参加していますが、彼女とコラボレーションした話について教えてください。きっと、この曲以外にもレコーディングされたと思うんですが。

SZA:ええ、その通り。彼女は他の曲にも参加してるわ。とても良い時間だった。友達としてもアーティストとしても、私たちはお互いを理解し合えたの。彼女は幅広い音楽のテイストを持っているし、型にはまっていないというか、むしろ周囲のことなんて全く気にしていないし、自由だった。そんな彼女と一緒にいるのが楽しかった。スタジオに彼女が来た時は「よし、面白いことをやろう」って思えたの。たくさんのロックソングを作ったわ。アルバムに入ってる曲のフックは、過去にやってきた悪いこととか、酷いことの数々……酷いわね(笑)。でも、どこかかっこよく聞こえたりして。そういったことを美化せずに、そのまま吐き出したの。結局、私はこういうスタイルが好きみたい。特にこのアルバムではね、「私」のすべてよ。



―今回のセッションでは、何曲くらい録音しましたか。

SZA:たぶん5、6曲かな。

―それはもうEPと言えますね。

SZA:そうね。ロックソングがほとんどだけど、それぞれムードが違うの。今のところはどうしようか決めてない。もう一回作り変えようかとかも思ったりするけど、何年もアルバムを作っていなかったから。曲に関して言えば、私にとって新しい時代の始まりだと思ってる。シンプルでありながら、オーケストラ調のサウンドも好きだけど、もっとディープな部分に積極的にアプローチしたの。

―アルバム制作に関して、選曲についてはかなり試行錯誤したと伺いました。誰と、どのような議論が繰り広げられたんでしょうか。

SZA:私とロブ(Rob Bisel)、パンチ、コーディー(Cody Fayne)で、どんな構成がベストかについて議論したわ。パンチはアルバムのアプローチに対して、かなり強いこだわりがある。夜中に彼から「君は大きな間違いをしてる。こうした方がいい」って連絡があったときは、内心ショックだった。私はもうお手上げ、彼の好きなようにすればいいって開き直ってたわ。ロブに関しては、曲が長いからカットする必要があったんだけど、「そこをカットしたら台無しだろ、それはできない」って言われたり。「Boy From South Detroit」については、Twitterでは評価が良かったし、私は気に入ってたけど、ロブはアルバムに入れたくなかった。パンチにいたっては、この曲のことを全く気にもしてなかったわ。だから別のバージョンに入れようって話してるの。「Joni」も同様。「PSA」は「Blind」に似ているから退屈だっていう理由で却下されたり……こういったやりとりが永遠に続いたわ。パンチはこういった分野のエキスパートだけど、私は不得意。私がわかることは、どんな曲を作りたいかだけ。アルバムの構成の良し悪しはわからないけど、自分らしいって思えたらそれで良いでしょ。構成が終わったあとに全体を通して、これは5年間の私の歴史だって思えた。どうなるかはわからないけど、何か確信を感じたの。


Photo by Jacob Webster

―アリーナツアーが控えていますね。アリーナツアーは今回が初でしょうか。

SZA:そうよ。とても緊張してるわ。

―そういった大きなツアーでは、あなたに対する(こういうパフォーマンスが観たい、これを演奏してほしいといった)要求が強いオーディエンスも多くいると思いますが、そのような状況をどう受け止めていますか。

SZA:どんなシチュエーションであれ、楽しみたいと思ってるわ。だって、5年間も私のパフォーマンスを待っていてくれたのよ! きっとうんざりしたはず……みんなが私をここまで導いてくれた。未発表の曲でも、アルバムの曲でも、過去の曲でも関係なく、相応しいと思う曲を披露して、今まで経験したことのないようなスペシャルな時間をつくりたいの。それが私のゴールよ。本当にワクワクしてるし、ステージでパフォーマンスができる喜びは、何にも代え難いこと。ストリーミングで配信されて、SNSで批評されるよりも、はるかに価値のあることでしょ。エネルギーに溢れた瞬間を共有して、みんなの人生を豊かにできるなんて、まるで魔法みたいじゃない!

From Rolling Stone US.




SZA
『SOS』
配信中:https://SZAsmji.lnk.to/SOS

Translated by Natsumi Ueda

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