ヘイルストームが語る、希望の道筋「ツアーこそが自分のいるべき場所」

「俺たちは常に一歩先を見ている」

ーヘイルストームに“無敵感”があるのはリジーのボーカルに加えて、その目覚ましい成功も理由です。バンドは初のアルバム『HALESTORM / ヘイルストーム』(2009年)を発表した翌年に早速日本上陸を果たし、2ndアルバム『THE STRANGE CASE OF... / ストレンジ・ケイス』(2012年)から「LOVE BITES (SO DO I)」がグラミー受賞、最新作『Back From The Dead』も全米トップ40に輝いています。キャリアの早いうちに多くのアーティストが羨む実績を作って、まだ成し遂げていないことがあるでしょうか?

ジョー:これだけの成功を収めたことは誇りに思っているし、世界中のファンに感謝しているけど、バンドが結成したのは1997年で、もう25年やっているから、決して“早いうち”ではないよ(苦笑)。俺たちは常に一歩先を見ているんだ。これまで成し遂げたことよりも、それをどう超えていくかを考えているよ。そのために曲作りやリハーサルに励むし、毎日ギターの練習をするんだ。まだまだやるべきことは幾らでもあるし、言いたいこともある。

リジー:自分が13歳の頃には想像もしなかったことを実現させたし、あとはレッド・ツェッペリンみたく自分のジェット機を持つことが夢かな(笑)。まあ、それは冗談で、音楽を続けられて、世界中のファンの前でプレイ出来れば、それでハッピーよ。まだ行ったことがない国にも行きたいし、行ったことがある国でも別の都市や別の会場でショーをやりたい。そうしてより多くの人たちのハートに触れられたら満足ね。

ーザ・ローリング・ストーンズやオジー・オズボーンなど70歳以上のロック・スター達と較べると、ヘイルストームはまだまだ若手バンドですが、あとどれぐらい突っ走れるでしょうか?

リジー:私も70歳になっても歌っていると思う。こないだハートのアン・ウィルソンのショーを見に行ったけど、素晴らしい声をしていたわ。

ジョー:ライブを観に来てくれるファンがいる限り、いつまでも続けるつもりだよ。「もう止めろ」と言ったって無駄だ。ステージで自分たちの音楽を演奏する以上に楽しいことはないからね。

リジー:そう、他の仕事なんて今更やるつもりがないからね。人生ずっと音楽と共に過ごすつもりよ。

ーバンドの公式YouTubeチャンネルでフリートウッド・マックの「The Chain」、アデルの「Hello」、トミー・ジェイムズやジョーン・ジェットで知られる「Crimson and Clover」、ドリー・パートンやオリヴィア・ニュートン・ジョンでお馴染みの「Jolene」などをプレイする映像を公開していますが、これまで3作がリリースされてきたカヴァーEP『Reanimate』の第4弾の予定はありますか?

リジー:具体的なスケジュールはないけど、カバー曲をプレイするのは楽しいし、ぜひやりたいわね。

ジョー:ネットに上げた「Jolene」はリハーサルも30秒ぐらいで、ぶっつけ本番だったんだ。そんな生のフィーリングが好きなんだけど、EPに入れるとしたら、あと数回通して練習して、ちゃんと弾けるようにしておくよ(笑)。

ードリー・パートンというとリベラーチェと並んで誇張されたアメリカ・エンタテインメントの象徴であり、“真剣な”ロック・リスナーからシリアスに捉えられない傾向がありますが、メタル・ファンに彼女の音楽を聴くように、どのように説得しますか?

ジョー:ここナッシュヴィルで数年前にドリーのコンサートを観たことがあるけど、素晴らしかった。今まで観てきたなかで最高のライブの一つだったよ。音楽に加えて、MCでのトークも笑い死にするぐらい面白かった。時計や携帯を見ている人なんていなくて、誰もが彼女に釘付けだったよ。単に“メタルではないから”と言って見ないのは、大きな損失だと思うね。

リジー:ドリーのコンサートは私も人生のトップ5に入るものだった。曲も素晴らしいし、彼女の歌い方、ステージの存在感など、あらゆる要素が最高だったわ。外側から見たイメージはフェイクなのに、ドリーは本物のシンガーでパフォーマーよ。あらゆるロックやメタルのアーティストもそうあるべきだし、彼女から学ぶことは多いわ。

ジョー:音楽業界だけではなく、ドリーは世界中の人々から感謝されるべきだよ。彼女がヴァンダービルト大学に巨額の寄付をしたことで、モデルナ・ワクチンの開発に多大な貢献をしたんだ。図書館に何百万冊もの本を寄付したり、聖人に認定されてもいいだろう。

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