2022年の年間ベストアルバムTOP100

10. Wet Leg - ‘Wet Leg’

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9. J-HOPE - ‘Jack in the Box’

J-HOPEが神話パンドラの箱に登場するコンセプトの再現に挑んだ、10曲で構成された渾身のコンセプト・アルバム『Jack in the Box』は、BTSのメンバーが発表した初のソロアルバムとなった。混沌としたパンドラの箱の中に最後に残っていたのは希望である。彼はそれにちなんでアルバムに自分の名前をつけたー輝かしく永続的なデビューを予期していたかのようにふさわしい。「このアルバムには魂と真実を込めたんだ」と、J-HOPEは今年の初めにローリング・ストーン誌に語っている。「ユニークなアルバムなんだ、音楽性の面においても。J-HOPEにとってはこれから先に進んでいく一つの手段だし、とても意味のあることなんだ。」このデビュー後にJ-HOPEファン(ファン歴に関係なく)は今後の彼の作品に失望することはまずないだろう。—B.E.

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8. FKA Twigs - ‘Caprisongs’



7. King Princess - ‘Hold on Baby’



6. Pusha T - ‘It’s Almost Dry’



5. Harry Styles - ‘Harry’s House’

“今までと同じじゃないってことくらい分かるだろう(You know it’s not the same as it was.)”。ハリーは『Fine Line』でモダンポップの象徴として大ヒットを収めたが、今回の『Harry’s House』ではイメージを覆す決心をしたようだ。東京スタイルシティポップ(「Music for a Sushi Restaraunt」)から始まり、ディスコサウンド(「Satellite」)、メロディの陶酔(「Grapejuice」)といった、鮮やかで遊び心のあるサウンドの一方で、エモーショナルな一面を持ち合わせた楽曲が揃っている。ハリー自身の心境を色濃く反映した「As It Was」は世界的ヒットとなったーー6カ月もTOP5にランクインし続けていたのだ。またこの曲は、家族に対するトラウマを抱えた友人に捧げるギターバラート「Matilda」を聴いたときと同じく、胸の高鳴りをも感じさせる。— R.S.

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4. Rosalía - ‘Motomami’

カタルーニャの気鋭、ロザリアはここ数年スペイン語圏の音楽において、ジャンルや人種、文化といった問題に切り込んできた。『Motomami』からは、彼女が尊敬してやまないケイト・ブッシュ、M.I.A.、カマロン・デ・ラ・イスラへの敬意を示しつつ、ポップアイコンとしてのプライドを感じとることができる。デンボー、バチャータ、レゲトン、フラメンコといったジャンルを横断し、ジェイムス・ブレイク、トキーシャ、ザ・ウィークエンドとの関わりも思い出させてくれる。『Motomami』は彼女の鋭いユーモア、パワフルな歌声、予測できないビートが見事に作用しあった傑作だ。彼女がこのゲームにおけるもっとも刺激的な融合主義者(フュージョニスト)であると断言していい。— W.H.

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3. Taylor Swift - ‘Midnights’

『folklore』と『evermore』に別れを告げる時が来たようだ。テイラーは森を抜け出し、良質な木材の壁とマスタード色のソファが置かれている小屋で眠れない日々とともに、『Midnights』で彼女の思いを書き上げた。光を放つようなシンセサイザーが印象的な「Maroon」と「Question…?」は『1989』を思い起こさせる。一方で薄汚れたウーリッツァーでフリートウッド・マックを演奏し、コカインで満たされた70年代を懐かしんでいるような雰囲気だと言うのも間違いではないかもしれないが。最初から最後まで素晴らしいサウンドだが、時間がないあなたには「Vigilante Shit」から「Bejeweled」「Labyrinth」までをぜひ聴いてほしい。約束しよう、今年一番の陶酔を楽しめるはずだ。— A.M.


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2. Bad Bunny - ‘Un Verano Sin Ti’

プエルトリコのまばゆい夏を想起させるバッド・バニーの歌詞は、スーパースターならではといえる。最初にリリースされたアルバムがSpotifyで最もストリーミングされたアルバムになり、ビルボード100では今年のロングヒット1位を記録、グラミーの最優秀アルバム賞において初のオール・スペイン語アルバムとしてノミネートされるといった、自由奔放でありながら記録を塗り替え続ける、確固たる強さも持ち合わせている。2022年を象徴するサウンド「Titi Me Pregunto」の一方で「Ojitos Lindos」や「Otro Atardecer」からは、輝きを放つインディーミュージックの海へと飛び込んだ彼が発見してきた美しいサウンドを披露してくれている。— J.L.

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1. Beyonce - ‘Renaissance’

孤高の存在を復活させたビヨンセの『Renaissance』は今年の音楽業界におけるハイライトとなった。マスターピースであるピアノハウスの「Break My Soul」は、世界中の批評家たちが口を揃えて10年ぶりのナンバーワン・ソロヒットだと認めたのだ。サンプリングされたボイスやサウンド、さらに素晴らしいゲスト(グレイス・ジョーンズ!)、過去から現在のグローバルなクラブスタイルを思わせるエコーでブラックコミュニティの悦びを高らかに祝っている。これはお決まりの手法だが、彼女は何百もの考察ができるほどのトーテムを楽曲に込めている、一方で純粋にダンスと音楽に浸ることのできるアルバムであるとも言えるだろう。「plastic off the sofa」「drop it like a thottie」から感じ取れるように、これはビヨンセにとっての幸福の結晶である。Queen Beyの傑作を共に祝おうではないか。— M.R.


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From Rolling Stone US.

Translated by Natsumi Ueda, Rolling Stone Japan

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