ビーバドゥービーが語る作曲術、ビートルズ、サマーソニック「日本へ行くのは全人類の夢」

 
ビーバドゥービー流の作曲プロセス

─ちなみに、今作にインスピレーションを与えた作品として真っ先に思い浮かぶのは?

Bea:川村元気の『世界から猫が消えたなら』という小説。人生に感謝することをテーマにしていて、『Beatopia』をレコーディングしている時に読んでいたんだよね。それについての曲を書いたわけではないけど、素晴らしい作品だったから無意識に影響は受けていると思う。それと、マーク・ライデン(「ポップ・シュルレアリスムのゴッドファーザー」と呼ばれるアメリカの画家)の世界観は、今作のアートワークにインスピレーションを与えていると思う。

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─楽曲のアイデアは、いつもどんな時に思いつくのですか?

Bea:本当にその時次第なんだよね。ただ『Fake It Flowers』を作っていたときは、もっと過去の出来事や、そのトラウマがアイディアの元になっていたと思う。今作では、自分の周りで「今」何が起こっているか、それに対して自分が何を感じているかが重要だった。いろんな経験を通して自己を発見する感じかな。他にも公園を歩いたり、美術館で見た作品だったり、自分以外の人々のストーリーだったり、本当にいろんなことからインスパイアされている。

それと自分が好きだったバンドはみんな、ありのままの歌詞や曲を書いていることに気が付いたんだよね。どのバンドも誰かにどう聴かれるか、人に理解されるかどうかなんて気にしていなくて、彼らにとって大切なのは、彼ら自身にとって意味がある作品かどうかなの。私も今回は、そういう歌詞や曲を書きたいと思った。だから、私自身のために歌詞を書いたともいえるね。

─トラウマといえば、今作では「broken cd」の歌詞が強烈に印象に残りました。乗り越えられない、過去の出来事についてここで歌おうと思ったのはどうして?

Bea:その曲は、『Beatopia』の中で私が唯一過去に浸っている曲。他の曲はそうじゃないのになぜこの曲だけそうなっているかというと、これは私が17歳の時に書いたから。アルバムの中で一番古い曲で、当時の私が感じていたことを歌っているの。すごく悲しい曲だったから、出来てすぐはあまりリリースする気になれなかったけど、今回は心の準備ができていた。それで改めてレコーディングすることにしたの。

─最近、若い世代の間でCDがリバイバルしていますよね。あなたにとってCDはどんな存在なのでしょうか。

Bea:例えば携帯などの端末で音楽を聴くのと違って、CDだと簡単に別の作品やアーティストに飛んだりすることって出来ないじゃない? なので、本当に自分が好きな作品を聴き込むのに向いていると思う。フィジカルは形に残るからコレクションもできるし。実は昨日もCDを買ったんだ。グウェン・ステファニーのアルバム(笑)。あと、ディズニーの曲も全部CDで持ってる。



─曲作りに話を戻しますね。メロディはいつもどうやって作っているのですか?

Bea:コード進行を考えることから始めることが多いかな。私はギターがないと曲が作れないから、いつも手元に置くようにしている。一度ギターでメロディが完成したら、その上に歌詞を乗せるの。普段、私1人で曲を書く時のプロセスはそんな感じ。ただ『Beatopia』ではジェイコブがコード進行をギターで作ってきて、そこに私がメロディや歌詞を乗せたこともあったし、私がコード進行をスタジオに持って行って、そこから2人でメロディや歌詞を考えたこともあった。結構、いろんなやり方がミックスしたアルバムになったの。

─今作がバラエティに富んでいるのは、それが理由の一つかもしれないですね。それにしても、どの曲もコードとメロディの関係がとても印象的です。

Bea:ありがとう。私はベストなギタープレイヤーではないから、そこから生まれるコード進行もかなり独特。かなり勝手なチューニングで(曲が)出来ることもあるから。オープンコードでプレイするときもあるし、一度に指を2本しか使わないし(笑)。ギターが上手くないぶん、出来るだけシンプルな弾き方にしようと思っているのだけど、それが普通のチューニングや弾き方では得られないような、リアルで剥き出しのサウンドにしているのかもしれない。メロディの乗せ方にもルールなんてないから、ものすごく自由でフレキシブル、かつパーフェクトな流れができるの。とにかく、自分の直感に従うことが大事なんだよね。

Translated by Miho Haraguchi

 
 
 
 

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