ロシアの女スパイ、ウクライナは自国を爆破していると主張

ウクライナ侵攻を支持する女スパイは他にもいる

ブティナはロシア政府の工作員としてアメリカで数年間活動していたが、2019年に国外退去処分を受けた。現在はロシアの国会議員として活動する一方、その悪名を利用してウクライナ情勢に関するディスインフォメーション(訳注:意図的に大衆をあざむくことを目的に作成された虚偽または誤解を招く情報)を拡散してはロシアの暴挙に対する支持を表明しているのだ。

そのひとつが、「Z」を着るという行為だ。先月からロシア軍の戦車を飾りはじめたこの文字は、ウクライナ侵攻を支持するシンボルとなっている。投稿された動画の中でブティナは、ジャケットの襟に自ら「Z」と書く。それだけでなく、彼女のInstagramは「Z」のイメージであふれている。

ニューヨーク・タイムズ紙が報じたところによると、「兄弟たち、仕事をしなさい」とブティナは動画の中で述べた。「私たちは、どんなときもあなたたちを支持します」

ブティナは「Z」の熱烈なファンなのだ。



英BBCのためにロシアの国営放送を監視しているフランシス・スカーは、先月ブティナがロシアのトーク番組に出演し、ウクライナ政府は国民に武器を与えるべきではないと主張したことを指摘した。「国民は武器の扱い方をわかっていないし、事故によって子供が自宅で命を落としてしまうかもしれない」というのが彼女の主張だ。

「Right to Bear Arms(武装権)」というNPO団体をブティナがロシアで立ち上げたことを踏まえると、彼女の発言は皮肉のように聞こえる。この団体は、ブティナが渡米してNRAとはしゃぎまわる前に設立された。その後、彼女はトランプ政権とロシア政府の間に裏ルートを設けようとしたことで有罪判決を受けた。

NRAに取り入ることに成功したブティナは、その後、数名の共和党員とも接触した。それだけでなく、2016年にはトランプ支持者たちのコネクションを利用して国務長官候補者の選定にも手を貸したと主張している。

さらに彼女は、トーマス・マシーといった議員とも親交を結んでいた。マシーは、ウクライナ支援案に反対票を投じた3名の共和党員のひとりである。

ロシアによるウクライナ侵攻を支持する女スパイはブティナだけではない。2010年に共謀罪などの疑いで起訴され、国外退去処分となったアンナ・チャップマンもウクライナ侵攻によって湧きおこった「愛国主義の波」を利用して自身のアパレルブランドを宣伝している。



「なんという愛国主義と忠誠心でしょう。ロシアの人々のこのような心情を目の当たりにするのは初めてです……本当にありがとう」とチャップマンはInstagramに綴った。「この愛国主義の波に、ロシアへの愛を込めてつくった私のアパレルブランドを捧げます」

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from Rolling Stone US

Translated by Shoko Natori

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