池松壮亮が語る、家族観と社会観 「人間は『社会』を諦めたら生きていけないはず」

Rolling Stone Japan vol.15掲載/Coffee & Cigarettes 29| 池松壮亮(Photo = Mitsuru Nishimura)


「本は好きですね。多くは仕事と繋がっていますけど、ジャンル関係なく常に読んでいます。小説もノンフィクションも、新刊から古典までなんでも読みますよ。ペースはその時の仕事量にもよりますが、常に読みかけの本を持って出かけています」

ちなみに池松が今読んでいる本は、写真家・映画監督の大西暢夫が書いた『ホハレ峠: ダムに沈んだ徳山村 百年の軌跡』。日本最大のダムに沈んだ岐阜県徳山村最奥の集落に、最後の一人になっても暮らし続けた女性の人生を追ったノンフィクションだという。

「まだ読み始めたばかりなので違ったら申し訳ないんですが、きっと小さなコミュニティの中でどうやって人が繋がり、助け合いながら日々幸せに生きるか みたいなことが書かれているのではないかと思っています。つまり本来の幸せとはなにかということです。たまたま知り合いに勧められて読み始めたんですが、やはり世界の行き詰まりを感じているからこそ惹かれたんだと思います。グローバル資本主義の行き着いた先にあまりにも大きな格差が広がり、個人の存在価値がお金に置き換えられ、いじめが横行し、いつまでも自分たちは優生思想から脱却できないでいる。そしてあらゆる物事が自己責任で片づけられる。そんな不寛容なこの世界で、未来に対してどういう生き方を目指し、提示していくべきなのかを考えている中で、コミュニティの大切さを見直すべきなのではないかと。やはり人と人とがフィジカルに繋がり、互いを思いあって、共存して生きていかなければいけないのではないかと。そして映画も同じく、そこからしか何もクリエイティブなものは生まれない。それは、撮影で韓国へ行った時にも強く感じたことです」


Photo = Mitsuru Nishimura 

池松が主演を務める映画『アジアの天使』(7月公開予定)は、石井裕也監督が初めて韓国のクリエイターと、オール韓国ロケで挑んだ作品である。妻を亡くし、兄を頼って幼い息子と共に韓国へ移住を決める主人公を池松が、ソウルで売れないタレントをしながら家族を支えるヒロインをチェ・ヒソが、そして韓国でその日暮らしをしている主人公の兄をオダギリジョーが演じ、貧困に喘ぐ日韓の家族が「新しい家族」のカタチを模索していくストーリー。池松と石井監督がタッグを組むのは、『ぼくたちの家族』『バンクーバーの朝日』『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』『町田くんの世界』に続いて長編だけで5度目となる。

Hair and Make-up = Fujiu Jim

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