リズムの快楽と「小躍り感」―リズムも、ポリリズム的な快感が色濃く登場しているのが面白くて。ループ感で押し切るよりは、パーカッションごとの絡み合いが練られている感じがしました。制作のプロセスはどんなものでしたか。緻密に作曲的にやっていったのか、もっとジャムっぽくつくっていったのか。食品まつり:今回はAbleton Liveっていうソフトをメインで使っています。このソフトにはセッションビューとアレンジメントビューというのがあって、セッションビューだとループを並べて、ライブ感ある感じで演奏できるモードなんです。いったんそれぞれのパートごとにループをつくったあと、セッションビューでひたすら流して、そこから展開をつくっていきました。何度も流しながらリアルタイムで音を抜いたりするのを繰り返して、あとで聴き返してちょっと編集したり。
―「Hoshikuzu Tenboudai」でのポリリズムであったり、「Parking Area」という曲のテンポ感が変わるような展開は、つくっているうちに即興的に思いつくんですか。食品まつり:完全に、つくってるうちに思いついてという感じで。全体像が最初からあるっていうわけじゃなくて、最初になんとなく音を入れてみて、どんどん音を足してつくっていって、ある程度ループっぽくなった時点で、頭の中で「これはこうしていこうかな」と考え始める。いきあたりばったりでどんどん進んでいくようにつくっています。
Photo by Chad Imes―今回の作品は、既存のダンス・ミュージックのフォーマットにがっつりのっかってるようなものではないですよね。ハウシーな感じの裏打ちのハットが入ったりはするんですけど。一方でリズムにフォーカスがあたっていることで、身体にはたらきかけてくる感じがすごくある。このアルバムも「ダンスミュージック」と言えるのではないかと思いました。食品まつり:ダンスミュージックとして聴くのもぜんぜんありだなと思います。以前のアルバム、特に2016年の『Ez Minzoku』はダンスっていう感じはしなかったんですけど、ライブを何度も何度もやっていくうちに、小躍りしたくなる感じになったのかなって。ダンスミュージックを特に意識はしているつもりはないんですけど。
―小躍り感。食品まつり:小躍り感ですね。わざわざ体をゆらすというよりは小躍りする感じ。
―Mad Decentから出た「ODOODO」であるとか、『DOUKUTSU』というEPでは、がっつり4つ打ちをやっていますよね。食品まつり:EPに関しては、あんまりアルバムでやんなかったことをやろうかなと思っていて。去年出した『DOUKUTSU』はほんとうにオーソドックスなハウスも入っていて。ライブでやってる曲を入れてるかもしれないですね。ライブでは4つ打ちもやったりするので。EPにはそういう曲も入れてみて、反応をみるというか。自分がつくってみたものにどういう反応があるのか見てみたい。