全米1位のラッパーが「音楽業界のスティーブ・ジョブス」を名乗る理由

「アーティストとしての観点とビジネスのマインドセットの両方を備えてる」

注目されることに慣れているというGoldnは、キャリアの早い段階でナンバーワンシングルを出すことに伴う不吉なジンクスを少しも恐れていない。「ゴールデンなんていう名前をもらった俺は、12歳になるまでずっと巨大なアフロヘアだった」。彼はそう話す。「俺はいつも目立ってたから、自然と自信がついたんだよ」

幼い頃から音楽の道を志していた一方で、Goldnは堅固な防御策も用意していた。彼は特待生として迎えられた南カリフォルニア大学で1年間学んでおり、ミュージシャンとして成功できなかった場合には、ヘッジファンドマネージャーや何かしらの起業家になるつもりだったという。彼は現在のキャリアにおけるビジネス的側面から学んだことが、いずれ自身のレーベルを経営する上での糧になると考えている。

「俺を支えてくれてるチームが持っているリソースや知識を、俺も身につけたいんだ」。Goldnはそう話す。「何かと非効率的なレーベルは多いからね。(RECORDSは)俺がヴィジョンを形にする上で必要だと思うことを自由にやらせてくれる。アーティストにそういう権限を与えるレーベルって少ないんだよ。ヒットを出そうと無闇にもがいてるだけでさ。アーティストとしての観点とビジネスのマインドセットの両方を備えてる俺は、誰よりもうまくやれるっていう自信があるんだ」

24kGoldnはTikTokラップシーンの中心的存在だが、彼は自身のサウンドがそう括られるのを良しとしない。より広義なカテゴリーさえも、彼にとっては窮屈でしかない。ラッパーとしてのイメージが強い彼だが、彼の名が知れ渡るきっかけとなった「ヴァレンチノ」と「シティ・オブ・エンジェル」の2曲のヴォーカルにはエモをの影響を感じさせる部分もあり、「ムード」は夏にぴったりのポップという表現の方がしっくりくる。

「高校生だった頃、誰もが俺のことをSoundCloudラッパーと呼んでた。でも今じゃTikTokラッパーってわけさ」。彼は微かに笑いながらそう話す。「そんな風に呼ぶ人のことを責める気はないよ。わかりやすい言葉で括る方が、独自のものとして受け入れるよりも簡単だからね。俺がいっときの流行りなんかじゃない本物のアーティストだってことは、時が経てば自ずと証明される」



Translated by Masaaki Yoshida

Tag:

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE