いい距離感で人に寄り添い音楽を紡ぐ、TENDREという生き方

Rolling Stone Japan vol.25掲載/Coffee & Cigarettes | TENDRE(Photo by Mitsuru Nishimura)


「基本的に古着を買うことが多いですね。作られた当時はトレンドだったアイテムが、一周回って今またカッコよく見えるとか、その辺も音楽に通じる気がします。着こなしも、ファッション雑誌よりは道を歩いている人や海外の俳優さんなどを参考にすることが多いかも知れない。一時期ジョニー・デップがめちゃくちゃカッコいい着こなしをしていて、そういうのをよくチェックしていました」

映画を観るのが好きな河原は、俳優の着こなしだけでなくその演技表現からも大きなインスピレーションを受けているという。

「時期によってハマる作品の傾向は変わってくるんですけど、好きな俳優で観る映画を決めることが多いですね。例えばジム・キャリーが大好きだった時期は、コメディの要素が入ったヒューマンドラマをよく観ていました。最近は『アントマン』シリーズのポール・ラッドがお気に入りで、彼の出ている映画をひたすら見漁りましたね。作品によって、様々な“顔”を見せる役者さんたちに、パフォーマーとして近いものを感じているのかもしれない」

確かに、TENDREの音楽性やヴィジュアル・イメージはクールでスタイリッシュだが、実際こうして話をするとお茶目でユーモラスな一面もあり、それはライブ中にも時おり顔を覗かせる。そうした意外性、多面性が河原の魅力の一つでもあるのだ。

「クールだと思われがちですが、自分ではめちゃくちゃハッピー野郎だと思っているんですよ(笑)。そこは、ジャズシンガーでもある母親の影響もあると思います。彼女も人を笑わせるのが好きな人で、ステージ上でもよく冗談を言っていたんですけど、いざ歌うとなると凛としたアーティストの佇まいになる。そういう、エンターテイナーとしての振る舞いは母親から学んだところも大きいですね」

河原太朗の本人名義でなく、TENDREというプロジェクト名を掲げたことも、表現活動をする上で大きな意味があったという。

「TENDREとしてのイメージと河原太朗としての実像、そこに垣根はないつもりだけど、自分が何かを発信するときに『TENDRE』と名乗ることによって、加速させられる感情というものは、もしかしたらあるのかも知れない。『TENDRE』というブランドの、カラフルなシャツを着ることもあれば、シックなジャケットを羽織ることもある。そんな感覚でイメージをコントロールしているところはある気がしますね」


Photo by Mitsuru Nishimura


そう言って彼は、キャメル・シガーに火を点けた。タバコは20歳の頃、当時組んでいたバンド仲間の影響で吸い始めたという。音楽制作中、頭をリフレッシュさせたいときの一服は格別だそうだ。

「“口が寂しいから”とひっきりなしに吸うのは、もったいないのであまりしたくなくて。タバコだけじゃなくて食事もそうですね。ただ吸う、ただ食べるのではなく、一つひとつ丁寧に向き合いたい。自分の前にあるタスクは常に一つにしておきたいんですよ(笑)。もちろん人間なので、常日頃それができているわけじゃないけど、基本姿勢としてそうありたいと思っています」

撮影協力:渋谷ガーデンホール

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