俳優・加瀬亮が語る、芝居との出会いと音楽のこと

Photo = Masahiro Miki

音楽、文芸、映画。長年にわたって芸術の分野で表現し続ける者たち。本業も趣味も自分流のスタイルで楽しむ、そんな彼らの「大人のこだわり」にフォーカスしたRolling Stone Japanの連載。その圧倒的な演技力で国内外から注目を集める加瀬亮。芝居と出会い、俳優になろうと決意した話。初舞台の現場で出会ったある人物について。大好きな音楽や読書のこと。最新出演作の話を交えながら率直に語ってくれた。

Coffee & Cigarettes 14 | 加瀬亮

「タバコはよく吸っています。最近は吸わない人が増えましたけど、タバコは人とのコミュニケーションを円滑にしてくれるものだとも思うんです。例えば映画祭でもどこでも、大抵パーティー会場ではみんなかしこまってますけど、喫煙所へ行くと本音が出てくるというか。『あの映画、ひどかったね』とか(笑)。実際、タバコを一緒に吸ったことがきっかけで仲良くなった人は大勢います。撮影現場でも、タバコ組と仲良くなりやすいですね」

そういって目を細め、彼はタバコを燻らせた。加瀬亮。クリント・イーストウッドの『硫黄島からの手紙』や、マーティン・スコセッシの『沈黙-サイレンス-』、アッバス・キアロスタミの『ライク・サムワン・イン・ラブ』など、映画界の「巨匠」と呼ばれる監督作品にも積極的に出演している彼は、静かだが存在感たっぷりの演技が国内外で評価され続けている。作品以外での露出も少なく、プライベートや私生活はあまり明らかにされていない。そのため、今日の取材は一体どんな雰囲気になるのだろう……?と、少々緊張気味に現場に向かったのだが、果たしてそこに現れた加瀬は、周囲のスタッフに気を使いながらも終始リラックスした表情でこちらの質問に答えてくれる、物静かで穏やかな人物だった。


Photo = Masahiro Miki

加瀬が初めて「芝居」に出会ったのは大学4年生の頃。就職活動も終わり、結果を待ちながら卒業までの時間を持て余していた時に、先輩の出ている舞台に誘われたのがそもそものきっかけだという。それまで映画にも舞台にも一切興味がなかったにも関わらず、強く感動した彼はその場で俳優になることを決意した。

Hair and Make-up = Kenichi Hamazaki

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE