『コブラ会』シーズン3、続編開始当初の面白さを失った残念な三作目

回想シーンはさておき、シーズン3にはウケ狙いではないのに笑えるアクションシーンがいくつかある。ロビーを探す一方、ジョニーとダニエルはカーチェイスに巻き込まれるだけでなく、盗んだ車の部品を売る店で数名のごろつき相手に闘うはめになるのだが、ここで同作はマッチオのためにスタントマンを手配している(長年の共演者と比べて空手の真似事はザブカのほうが一枚上手だった。スタントマンを起用したシーズン後半のマーティン・コーヴや子役たちのシーンにも同様に不自然な点があり、互角であるはずのキャラクターがさまざまな武術を披露していた)。


『コブラ会』でトリー役を演じたペイトン・リストとイーライ/ホーク役を演じたジェイコブ・バートランド(写真左から)(Photo by BOB MAHONEY/NETFLIX)

同作をコメディにしようという取り組みはほとんど皆無だったが、ジョニーは負傷したミゲル相手に型破りで笑える治療法をいくつか試し、ハイスクール時代の元カノのアリ(『ベスト・キッド』のエリザベス・シューの演技が印象的)(とダニエル)をあっと言わせたいがためにFacebookの使い方をマスターしようと奮闘する。主にシリアスなジャンルへのシフトは、功罪相半ばする結果となった。沖縄のシーンでは、ダニエルとジョニーの心の葛藤と後悔が効果的に描かれている。だがクリーズは漫画から出てきたような人物で、共演した子役たちの多くはひと言しかセリフを与えられていない(なかには、他の子役よりも説得力のある演技を披露した子役もいた。特にジェイコブ・バートランドは、脚本家のどんな指示にも柔軟に応じられる印象を与えるため、今回の演技には物足りなさを感じた)。キャラクターにとって必要だからというよりは、ストーリーの必然性によってキャラクターが何に忠誠を誓うかがコロコロと変わり続ける。複数のティーンエイジャーが登場する、撮影とコレオグラフィーが見事なバトルシーンがシーズンの後半で登場するのだが、まるで犯罪行為といった要素が多すぎて、どうして誰も警察を呼ばないのだろう? とツッコみたくなってしまう(空手の乱闘が招く結果を長々と描いてきた同作だから、なおさらそう感じてしまう)。

続編というものは、常に前作のプレッシャーにさらされている。クライマックスでダニエルとチョウゼンが決闘を繰り広げる『ベスト・キッド2』もそうだった(ネタバレ注意:ダニエルはチョウゼンにとどめを刺す代わりに鼻をつまんだ)。だが道場同士のライバル関係は、魅力的な伝説という領域を超え、ただただ馬鹿らしいものになってしまったのだ。これは、長きにわたってライバルたちを描いてきた同作を続けるうえでの危機でもある。

しかしながら、ジョニーとダニエルのストーリーに深みが増したのは当然のことだ。彼らはキャリアを積み、役者としての味わいも増した。オーディエンスと制作陣からの投資額も増えた(シーズン3でもっとも印象的なシーンは、長い会話を通じてミゲルとダニエルが互いの共通点の多さに気づくシーンだが、これは私たちが長年観てきた過去の映画のおかげで期待された効果を発揮している)。だからといって、馬鹿馬鹿しさだけが増すシリーズを続けることはできない。劇中でジョニーの旧友は次のように言う。「たまには、過去を振り返って自分がいまいる場所を確かめるのは良いことだ。でも、過去を生きることはできない」。シリーズ開始当初、『コブラ会』は過去と現在の両方を巧みに生きてきた。残念ながら、それはもはや叶わない。



Translated by Shoko Natori

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