錦戸亮、武道館ライブ完遂 バンド編成の多彩さと配信ならではの映像美が融合

錦戸亮(Photo by 田中聖太郎)



シンガーソングライターの力量を見せつけたステージング

前夜祭ではアコギの弾き語りで初披露だった「コノ世界ニサヨウナラ」も、リズム隊が入ることで新たな表情を見せてくれた。同じ曲でも演奏、アレンジによってまったく印象が変わるのが、ライブの楽しさだ。カメラが歌う錦戸の表情を捉え、パーツに寄り、ボカしてフォーカスしてといった不安定さを見せて曲に寄り添う。ピアノ伴奏に合わせての「Silence」では、ギターを抱えて背中を丸めて歌う姿を後ろから映し、ストリングスの音色に寄り添い、愛おしそうに歌う。光の柱が幾本も立ち並ぶ、シンプルで静謐な空間。光と影のコントラストが強く、上品な映像美を堪能させてくれた。

「今までは自分で作った曲をやってきたんですが、次、ある方の曲を歌いたいと思います」とスツール椅子に着席。ギタリストが爪弾くギターに合わせて、東北弁での漫談が始まった。昨夜も披露した吉幾三氏の「と・も・子」。ライブに来て完璧な一人芝居を観劇しているような、贅沢な時間。長い語りから、優しい声で歌に入る。本人がギターを弾いていても弾いていなくても、芝居の精度は変わらない。

バックライトが映し出す、孤高のシルエットからの「スケアクロウ」は、ストリングスがメロウに鳴り響き、繰り返しのサビが力を増していった。ドラム&ベースセッションからの「Tokyoholic」は、重圧なバンドサウンドで身体と感情に揺さぶりをかける。映像が回転し、レーザーが乱舞。エレキギターを手にした錦戸が、ニヤリと笑い、野太い声を放つ。

「次はぜひ、会場に遊びに来てください。最後の曲です」とシンプルな挨拶から、昨日は1曲目だった「ノマド」を演奏。ストリングスアレンジで聴かせた、始まりの一歩を象徴する曲。軽やかさが加わった「ノマド」は、楽曲が伝える内容をさらに強め、羽ばたかんとする気持ちをバックアップするような仕上がりになっていた。最後のサビを慈しむように穏やかな表情で歌い、そして高らかに、絞り出すように、達成感を感じさせる表情で歌い切った。目を閉じてギターを弾く姿も、バンドメンバーを見つめる顔も、彼が歩んできた充実した日々を感じさせてくれた。

演奏を終えると、パッとタイトルバックに変わり、エンディングの映像が流れる。なんとも潔い終わり方だ。リハ映像での錦戸亮は、音楽が好きでたまらない、楽しくてたまらないといった少年のような顔を見せていた。同じ空間にいてもいなくても、しっかりと彼の作る世界に観客を引き込んだ2日間。エンディング後には、2021年1月に2ndアルバムをリリースするとの告知が入り、未来へ向けて、またひとつ、楽しみを増やしてくれた。

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