ノラ・ジョーンズが語る新しい挑戦、母親としての役割、孤独感を癒す音楽の力

「今回のアルバムはタイムリーな内容」

ー少し、楽曲に関して聴かせてください。先行配信となっている「ハウ・アイ・ウィープ」はどういう思いを込めた楽曲でしょうか。またアルバムには1曲目に収録されている楽曲になると思います。これを最初にもってきた理由があれば教えてください。

ノラ:これは詩から生まれた曲。昨年ぐらいから詩の世界に導いてくれた友達がいたのね。詩なんて、今まであまり書いたことがなかったけど、詩集とか読むことによって、結構ハマって行った。あと、子供達にドクター・スースの絵本とかを読んではいたの。ライムに溢れる世界だから。ことばを綴り始めたら、それらのものが詩になっていった。書いた詩はとても気に入ったんだけど、詩集を出す気もなかったので、それを歌にしていったの(笑)実際に歌にしてみたら、今まで私が書いてきたものとは、まったく違うものになっていった。初めての感覚でとても気に入っているわ。

1カ月ぐらい前に「アイム・アライヴ」をシングルとしてリリースしたんだけど、それからこのウイルス騒ぎになって、アルバムのリリースを1カ月延期することになったのね。でも、アルバムを出す前に数曲シングルとしてリリースしたかった。みんなに少しでもこのアルバムからの曲を聴いて欲しかったから。このアルバムの特徴として、孤独に溢れている感じがして、特にこの曲は、隔離されているという雰囲気を持つものだった。今の時代をぴったり表わしたものだったと思う。



ー日本盤ではボーナス・トラックとして収録される「トライン・トゥ・キープ・イット・トゥギャザー」が急遽シングルとしてリリースされると伺いました。こちらはどういった経緯で公開にいたったのでしょうか。込めた思いがあれば教えてください。

ノラ:1カ月ぐらい前にマスタリングをして、この曲を聴いていたの。その時にはもう世界は今の危機真っただ中で、そんな時に聴いていたからかもしれないけれど、この曲が頭から離れなかったのよね。アルバムに入れるには、あまりに寂しくて、暗い曲だなと思っていた。だから、ボーナス・トラックにしたんだけど、今は、この曲が今の世の中を代弁しているような気がするの。多くの人達が共感してくれれば嬉しい。



ーちなみに、音楽以外のことで何か関心ごとはありますか?

ノラ:そんな時間があったらいいんだけど(笑)。もし、できたら、陶芸をやって、変なマスクとかを作ってみたいわ。でも、まだ、そんな時間がないのよね。子ども達がまだ小さいので、なるべく子供達と楽しむ時間を持つようにしている。子供達と一緒にいる時間を持つようにしているわ。それだけでもう充分。

ー歌詞の一部は、童話や絵本からインスピレーションを受けたと読みました。母親になってアーティストとして心の変化はありましたか。音楽と子育ての関わりはどう作用していますか?

ノラ:どうだろう? どうやって答えたらいいか、迷うわね(笑)ドクター・スースの本とかが、詩を書いてみるという行動には影響したけれど、歌詞の内容に影響を与えたとは思えないのよね。でも、私の頭の中が詩のように機能していく上では影響を与えてはいると思う。ライムとかしているからね。

私は、母としての役割をどうにか果たそうと時間を費やして、アーティストとしてもどうにかやっていこうとしている。音楽と子育ての関わりがどう作用していくのか、という観点から考えたことはないけれど、もちろん、人生の中で起こるすべてのことがアートに影響は与えるはずだから。それをどう言葉にしていったらいいのか、わからない。直接的なつながりは意識しないけれど、アルバムを完成させるのに、2時間どう捻出しようか、とか考えるようにはなったわ(笑)。

ー先ほどお話にもでましたが、今世界的に大きな危機に直面しています。家から外に出られないファンたちにとっては、SNSでのライヴ配信「ミニ・コンサート・ライブ・イン・ザ・ホーム」が大きな励ましになっていると思います。

ノラ:一人の人にでも、勇気を与えることができれば、それは価値のあるものだと思って挑戦してみているわ。

ーそんなファンの方々や、がんばるすべての人に一言、お願いします。

ノラ:今みんな大変な思いをしていると思う。私にとって音楽を聴く事って、気分が良くなったり、踊りたくなったり、泣きたくなったり、何かを忘れさせてくれるもの。違うところに連れていってくれるものなの。それが大切なこと。何かを感じさせてくれるものなのね。

自分ができることを人にしてあげられるのは、私にはとてもうれしいことで、これが、私が本来やっていることだから、ずっとやり続けようと思う。一人でも誰かの気分が良くなるのなら、やる価値があるものだと思っている。でも、もし、誰の気分もよくならなくても、私が気分よくなるからいいの(笑)。プレイできるだけでも、気持ちいいもの(笑)。みんなにとっても、私の活動で、何かポジティヴなことはあると願っているわ。

今回のアルバムはとてもタイムリーな内容だと思う。書いた時は、こんなことが起きるなんていうことを想定して書いたわけではないんだけど、今私達がまさに経験していることがメッセージになっているから、とても不思議なのよね。内容的には、人間そして、人との繋がりをテーマにしたものなの。だから、少しでも音楽の力を届けられたらと思う。これからも積極的に音楽を発信していこうと思っているから、これが誰かの癒しに慣れば、こんなに嬉しいことはないわ。


「ミニ・コンサート・ライブ・イン・ザ・ホーム」で披露された「トライン・トゥ・キープ・イット・トゥギャザー」




ノラ・ジョーンズ
『ピック・ミー・アップ・オフ・ザ・フロア』
発売日:2020年6月12日(金)
通常版:¥2,860(税込) UCCQ-1125 
初回限定盤:¥3,630(税込)  UCCQ-9571
https://norahjones.lnk.to/PickMePR

【収録曲】
01. ハウ・アイ・ウィープ / How I Weep
02. フレイム・ツイン / Flame Twin
03. ハーツ・トゥ・ビー・アローン / Hurts To Be Alone
04. ハートブロークン、デイ・アフター / Heartbroken, Day After
05. セイ・ノー・モア / Say No More
06. ディス・ライフ/ This Life
07. トゥ・リヴ / To Live
08. アイム・アライヴ / I’m Alive
09. ウァー・ユー・ウォッチング? / Were You Watching?
10. スタンブル・オン・マイ・ウェイ / Stumble On My Way
11. ヘヴン・アバヴ / Heaven Above
12. ストリート・ストレンジャー / Street Stranger *ボーナス・トラック
13. トライン・トゥ・キープ・イット・トゥギャザー
/ Tryin‘ To Keep It Together *ボーナス・トラック

【初回限定盤DVD収録内容】
「アイム・アライヴ」ミュージック・ビデオ
「アイム・アライヴ」日本語リリック・ビデオ(歌詞対訳:川上未映子)
「ビギン・アゲイン」リリック・ビデオ
「フリップサイド」ミュージック・ビデオ

【初回限定盤 封入特典】
別冊スコア・ブックレット(3曲分)
「アイム・アライヴ」
「フレイム・ツイン」
「ハーツ・トゥ・ビー・アローン」

■リンク
・Universal Music: https://norahjones.jp/
・Twitter: https://twitter.com/NorahJones
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「ミニ・コンサート・ライブ・イン・ザ・ホーム」アーカイブ
(YouTubeプレイリスト)
https://www.youtube.com/channel/UCuZjZJufEJ1iIZhbJGiAjHA

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