ウィーザーのリヴァース・クオモが語る、科学的に作るセットリスト

「Beverly Hills」(2005年)

次は、もうひとつの大ヒット曲でテンションをさらに上げよう。「この数年にわたってオーディエンスの進化を見るのは興味深かったよ」とクオモは考えながら言う。「おおまかな印象としては、いまの子たちのほうがダンスが上手いね。「Beverly Hills」がはじまったとたん、みんなが思い思いの動きをしだすのを見るのが楽しいんだ。それまでにどんなことがあったとしても、それだけで気分が上がる」。

「Pork and Beans」(2008年)

ウィーザーの『Red Album』に収録されている反抗的なアンセムでオープニングは続く。「2008年頃の曲は、オーディエンスをあっと言わせるほどのヴィンテージ感がないんじゃないかって時々悲しいことを思うんだ」とクオモは言う。「でも、『Pork and Beans』は、いまの子たちの心にもほんとうに響く」。

クオモは、ここ最近「Pork and Beans」を楽しむ彼だけの理由があることを言い足した。「最近になって汚い言葉を使いはじめたんだ。だから、この曲の最後で「I don’t give a hoot about what you think(あんたの気持ちなんてどうでもいいんだ)」って歌う代わりに、「I don’t give a fuck about what you think(あんたの気持ちなんてクソくらえだ)」って言って中指を突き立てる。ある晩のライブでやってみたら、最高におかしくて。だからいまも続けてる」。

「Perfect Situation」(2005年)

ここで衣装替えだ! ここまでウィーザーは「Buddy Holly」のミュージック・ビデオに登場するような70年代のアメリカの人気テレビ番組「Happy Days」のレプリカ的セットで演奏していた。『Make Believe』のシングル曲「Perfect Situation」の最後のクオモのギターソロ(クオモはこれを「最大のロックスター的瞬間」と呼ぶ)のあと、長年にわたってバンドのサポートメンバーを務めてきたカール・コークがステージの上をダッシュし、フロントマンのカーディガンとネクタイを破り、そこに置かれた洗濯機に投げ込む。「Buddy Holly」の衣装の下に「Undone – The Sweater Song」のミュージック・ビデオの衣装を着てるんだ」とクオモは解説した。「メキシコのベラクルスのサッカーチームのユニフォームさ。オーディエンスがそれに気づくと、大騒ぎになる」。

「El Scorcho」(1996年)

セットチェンジも終わったところで——今回は、壁にKISSのポスターを貼ったガレージのようなセットだ——、バンドは1996年の『Pinkerton』のなかでもファン人気が高い「El Scorcho」を披露する。「何年もこのアルバムの曲をライブで演奏しなかった。だから、いい加減、一部のファンが不安になるんじゃないかって思ったんだ」とクオモは言う。「オーディエンスがのめり込んでくれるのを実感できるのは最高に嬉しい。このアルバムを掲げてツアーをしていた最初の年、オーディエンスはしーんとしていたから。かなりへこんだよ。いまでは、みんながギターソロでブライアン(・ベル)と合唱してくれる」。

「Happy Together」(タートルズのカバー)

オーディエンスがすっかり虜になったところで、タートルズの明るい人気ポップソングのカバーといった変化球を投げてもいい頃だ。今回は、グリーン・デイの「Longview」の一部もミックスされている。クオモが2曲を合わせて演奏しはじめたのは、先日サンフランシスコで行われたソロアコースティックライブでのことだ。それ以来、定番となっている。「60年代と90年代という大好きな2つの時代のなかでもお気に入りの曲なんだ。まさにいまにぴったりだ」と言う。

Translated by Shoko Natori

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