コスタリカで起きた19人の死亡事件、原因は薬物混入のアルコール飲料

メタノールが混入された偽造アルコール飲料が、死亡事件の原因とみられている。(Photo by Rolling Stone)

中米コスタリカで高濃度のメタノール混入酒を飲んで19人が死亡した。

凍結防止剤や車のワイパー液に使われる化学薬品、メタノールを含んだアルコール飲料を摂取して19人が死亡したのを受け、コスタリカの政府保健当局は全国に警報を発令した。

コスタリカ保健省はプレスリリースで、14人の男性と5人の女性が、薬物が混入されたアルコール飲料を摂取した後、死亡したと発表した。これらはGuaro Montano社、Guaro Grand Apache社、Aguardiente Estrella社などのアルコールブランドの製品で、いずれも保健省から認可を受けていたため、政府は「こうしたブランドの模造品」が最近の死亡事件の原因であるのでは、とにらんでいるという。

保健省の話では、混入アルコール絡みの死亡事件はコスタリカ各地で報告されており、大部分が国内最大の都市である首都サンホセに集中している。政府はこれまでに、被害を受けたブランドの商品およそ3万本を押収した。

これらのアルコール飲料には有毒レベルの化合物メタノールが含まれていた。凍結防止剤やワイパー液などに使われるメタノールはほんの微量摂取しただけで人体に害を及ぼし、めまいや吐き気、嘔吐を引き起こすほか、場合によっては死に至る場合もある。

全米ワイン&スピリット卸売業者協会(WSWA)の広報担当者が以前ローリングストーン誌に語ったように、メタノールが偽造アルコールに使われることは決して珍しくない。偽造アルコールとは、密造酒の製造業者が正規ブランドに似せたパッケージで製造したアルコール飲料。チェコやインドネシア、メキシコなどの国々で、偽造アルコール絡みの死亡事件が発生している。すでに今年インドでは、メタノールを含んだ偽造アルコールが原因で125人が死亡している。

最近ではドミニカ共和国でアメリカ人観光客が次々と死亡したのを受け、やはり偽造アルコールの関連性が疑われている。現在FBIが3件の死について薬物検査を実施している他、ドミニカ共和国の観光省も先ごろ、ホテルの食品飲料検査を年2回から年4回にすると発表した。観光客の不審死が発生したホテルチェーンのひとつ、プンタカナのハードロック ホテル&カジノはローリングストーン誌の取材に対し、客室からミニバーを撤去する予定であること、またすでに独立検査機関に依頼して「すべての食品飲料製品および公共スペースの検査と成分分析を実施してもらう予定だ」と語った。

海外セキュリティ助言協会は観光客に対し、渡航先では自家製アルコールの摂取を避け、正規ブランドのみを摂取するよう呼びかけている。また、廉価のアルコールは正規ブランドのパッケージに似せた偽造アルコールの可能性があるため、購入を控えるようにと指導している。

Translated by Akiko Kato

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