ドミニカ共和国の連続不審死事件、死因の謎を解く鍵は「密造酒」か

この1年で少なくとも10名がドミニカ共和国を滞在中、または帰国後に死亡している。(Photo by Joe Raedle/Getty Images)

この数カ月、ドミニカ共和国で起きた一連のアメリカ人観光客の不審死は、世界中の観光客の関心を集めている。この1年だけでも、これまでに少なくとも10名がドミニカ共和国絡みで死亡している。

つい最近も、米ルイジアナ州の女性スーザン・シモノーさんがプンタカナでのハネムーンから帰国した後に亡くなった。検視報告書はまだ発表されていないが、同国から帰国した後に死亡した他の観光客同様、シモノーさんも肺の中に水が溜まった状態で死亡していたとみられる。ドミニカ共和国の政府職員は一連の死亡事件に関連性はなく、島は安全だと強調しているが、大勢の人々がいったい何が起きているのかと首をかしげている。

現在のところ、ドミニカ共和国でのアメリカ人観光客の死に関するもっとも有力な説は、偽造アルコール、もしくは密造酒が関係しているのでは、というものだ。この説の主な根拠となっているのは、5月25日に亡くなったペンシルベニア州の女性ミランダ・シュワップ・ウェルナーさん(41歳)や、昨年6月に亡くなったイヴェット・モニーク・ショートさん(51歳)、4月に亡くなったロバート・ベル・ウォレスさん(67歳)など、複数の死亡者がミニバーのドリンクを飲んだ後に具合が悪くなっているからだ。ただし、事件は2つの異なるホテルチェーンで発生しており、場所もそれぞれ違っていた(シュワップ・ウェルナーさんはグランド バイーア プリンシペ・ブーゲンビルホテルに滞在していたが、ウォレスさんが滞在していたのはプンタカナのハードロックホテル&カジノで、ショートさんはブンタカナのバイーア プリンシペ)。

5月30日には、メリーランド州の夫婦、エドワード・ホームズさん(63歳)とシンシア・デイさん(49歳)がラ・ロマーナのバイーア プリンシペ ホテルの客室で死んでいるのが発見された。ホームズさんとデイさんが死亡前にミニバーのドリンクを飲んでいたかは不明だが、ホームズさん、デイさん、シュワップ・ウェルナーさんは全員死亡時に、肺に水が溜まる肺水腫の症状が見られた。

ニューヨーク・ポスト紙によると、FBI捜査官は偽造アルコール説を調査しており、事件が発生したリゾートのうち少なくとも1カ所、ラ・ロマーナのバイーア プリンシペ ホテルのアルコール飲料のサンプルを、被害者の血液サンプルと比較検証している。FBIは被害者が死亡する直前に飲んだアルコールの種類の特定とともに、アルコールが密造されたものか、あるいは劇薬が混入されていなかったかを追及しているとみられる。

だが一体どうやって、密造酒がホテルやリゾート、レストランに紛れ込んだというのか――また、不審死につながりうる薬品とはいったいどんなものなのか? 以下、現時点でわかっていること、いまだ不明な点をまとめてみた。

Translated by Akiko Kato

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