新海誠監督の最新作『天気の子』の音楽を手がける他、初のスタジアム・ワンマンを含む10カ所17公演のツアー「ANTI ANTI GENERATION TOUR 2019」を開催するなど、昨年12月に発表したアルバム『ANTI ANTI GENERATION』以降、野田洋次郎(Vo, Gt, Piano)がこのインタビューで語った「音楽集団」ぶりを正しく発揮している2019年のRADWIMPS。
ロックバンドの可能性を大きく更新した『ANTI ANTI GENERATION』が完成した今だからこそ聞きたい、野田洋次郎という並びないアーティストを形成しているルーツについて。音楽はもちろん、映画や漫画、ファッションなど自らが影響を受けたカルチャーをじっくり紐解いてくれた。そして、最終的には“ロックとバンド”のあるべき未来にまで話は及んだ。RADWIMPSファンのみならず興味深いテキストになっていると思う。
※この記事は2018年12月25日に発売されたRolling Stone Japan vol.05に掲載されたものです。
音楽の原風景は父親が愛好するジャズ
ー今日はルーツを探るようなインタビューをしたいなと思ってるんですけど、そう言えば洋次郎くんのそういう企画ってあまり読んだことないなと思ったんです。
野田:言われてみればそうかもしれない。
ーいろんなカルチャーに触れてきたと思うんですけど、まず洋次郎くんが初めて音楽に触れた記憶として残っているものってなんですか?
野田:小さい頃……幼稚園とかかな? 4歳からバイオリンを習っていたので。親がずっと音楽好きで。うちの親父はプロのジャズミュージシャンを目指していたんですけど、最終的にはサラリーマンになって。
ーそうだったんですね。
野田:家の地下にはドラムセットとピアノが置いてあって、3カ月に1回くらい親父のアマチュアジャズ仲間が家に来て、夜中に爆音でひたすら演奏してるっていう(笑)。
ーちなみにお父さんのパートはなんだったんですか?
野田:ピアノです。俺は小さい頃ピアノの下に入ってずっとみんなの演奏を聴いてました(笑)。
ーでも、最初に触れた楽器はバイオリンだったんですね。
野田:そう。でも、バイオリンはちょっとやらされていた感もあって。全然上達しなかったし、途中で辞めちゃいましたね。音楽を聴く側としては、ジャズという音楽を認識する前からジャズの生演奏をずっと聴いていて。あと親父はサザンオールスターズ、ユーミン(松任谷由実)、サイモン&ガーファンクルとか王道のポップスやフォークっぽい音楽も好きだったから車の中でよく聴いてました。それか、マイルス・デイヴィスとかオスカー・ピーターソンとかチック・コリアみたいな。
ージャズか日本のポップスだったんだ。
野田:そう。オカンはオカンでクラシックがずっと好きだったんですよ。でも、そんなに家でクラシックを聴いていた記憶はないんですけど。
ーじゃあバイオリンはお母さんからの導きで始めたんですか?
野田:そう。オカンは俺が自分からやりたいって言ったって言い張ってるんだけど、俺は全然やりたくなかった(笑)。
ーバイオリンを自分から習いたいって言う4歳はあんまりいないよね(笑)。
野田:いないよね。聞いたことない(笑)。