春畑道哉がギターで表現した「出会い、再会、別れ」を語る

春畑道哉(Courtesy of Sony Music Associated Records)



―先日、Charさんと話していたら、「日本の音楽はマイナーコードだよ。演歌は全部マイナーコードだ」とおっしゃっていたんです。古き日本をテーマとしているとなると、やはりマイナーコードは多く使用されているんですか?

さっき挙げていただいた「東京classical」という曲はマイナーコードが多かったですね。曲の後半はゲイリー・ムーア的に弾きたいなって、弾いているんですが……(実際にギター鳴らしながら)後半もやっぱりマイナーですね(笑)。

―なぜ日本はマイナーコードが似合うんでしょうかね?

不思議ですよね。CMでも京都の画になるとマイナーキーが流れますよね。でも、音楽ってそういうものだと思うんです。僕らがロックと言ってもそれは借り物なんですよ。ロックをコピーし模倣して、本場のロックを広げてきましたけど、この国では、マイナーコードが出てくると妙に落ち着くわけです。だって、古くは「荒城の月」みたいな曲を自然と日本人は作っていたわけなので。もちろん、メジャーキーの曲も日本にはありますけど、スコーピオンズもコピーするぐらい日本のオリエンタル感はマイナーキーにありますよね。

―根本要さんをフィーチャーした「Every day is a new day」など、ポジティヴなエネルギーに満ちた曲も素晴らしいのですが、『Continue』は、日本ならではのマイナーキーの曲の情緒が大きな魅力の一つだと思います。それと、一発で春畑さんだとわかるギターのトーンもやはり魅力です。

ありがとうございます。

―そして、トーンと言えば、松本孝弘さんも唯一無二のトーンを出しますよね。その松本さんはギブソンの“The レスポール”の音。一方の春畑さんはフェンダーの“Theストラト”の音です。この二人の対比は面白いなぁと思っているのですが、春畑さんは松本さんの音を意識することはありますか?

意識するというより、松本さんの音、大好きなんです。しかも、B’zでデビューする前の演奏から好きで、片山 圭司さんと一緒にやっていた頃も好きでしたね。松本さんのトーンで言えば、エフェクターのロックマンの音とか、ワウの半開きの音とか、中低域プッシュの音とかも好きですね。

―やはり松本さんの出音は意識しているんですね。

それもそうなんですが、2017年の松本さんのBLUE NOTE でのライブにも行きましたし、ずっと仲良くさせてもらっています。しかもTUBEにも松本さんに曲を書いてもらっているんです。松本さんはギターリフをすごく重視しているんですが、そのリフが、弦を下にチョーキングするんですよ。松本さんは自然に下にチョーキングするんですが、僕は弦を上にしかチョーキングできないので……。あと、そこがDのリフだったんですけど、「今前田のキーはここからここまでで」って松本さんにお伝えしたら、「Dのリフでいくんで前田君ここまで頑張ってよね」って。「……ではなくて、前田のキーは今ここまで……」って丁寧に返したら「分かったよ、じゃあキーに合わせていいよ。でもリフ難しくなっちゃうよ」って。それでBフラットにしたらとんでもなく難しくなっちゃって。僕が弾いているのを見ていた松本さんが、指のポジショニングを指して「変な形。よく弾けるねそんな形」って(笑)。

―(笑)。

あと松本さんの映画音楽の企画アルバム『Theatre Of Strings』にも参加させて頂いてます。4人のギタリストが好きな映画音楽を持ち寄って、作ったアルバムなんですけど、僕は「戦場のメリークリスマス」とか「OVER THE RAINBOW」をギターバージョンで弾いたんですけど、何度か松本さんも一緒にスタジオにも入ってくれたんです。松本さんは先輩だから、「もっと他のフレーズある?」とか「もっと春畑君らいしいフレーズある?」ってディレクションしてくれたんです。フレーズには凄くこだわるんですが、「自然な感じで」って。すごくこだわるところとそうでないところのメリハリがすごいんです(笑)。

―(笑)。2人はよき仲間でありライバルなのかもしれませんね。ライバルと言えば、若いギタリストの追い上げはどう感じていますか?

みんな気絶するほど上手いです。昨年「J’S THEME」のギターコンテストをやったんですけど「こんなの弾ける!?」「俺弾けないよ、そんなの」っていう動画がいっぱいきました(笑)。本当に上手いです。

―確かに若い人は上手いですよね。その一方で、春畑道哉というギタリストは益々唯一無二の存在になりつつあるなぁと今作『Continue』を聴いて思いました。

僕自身、あんまりテクニックのすごさで戦いたい感がないんです。どれだけ速く弾いて「よし!」みたいな感覚がちょっとなくなってきたんですよね。10代、20代の頃は誰よりも速く弾きたいと思っていたんですけど、今は速さ勝負のステージではないなって思ってます。もちろん速いことは潔いしカッコいいんです。誰にも弾けないスピードのフレーズももちろん大好きです。でも逆にゆっくりな曲の音の説得力も大事にしたいなって。ただ、それも速さとの対比だったりもしますよね。その対比が1曲の中だけではなく、1枚のアルバムとしても『Continue』では表現できたかなって思っています。

―本当にそういうアルバムに仕上がっていますよね。しかも「空」という曲はピアノのインストでしたし。

僕は最初に習ったのがピアノなんです。なので、アルバムにぽつん、ぽつんと「空」のようなピアノの小曲を入れるのが好きで。今回は、いいピアノに出会ってしまって。スタインウェイの100年くらい前のやつなんですけど。それをお借りして録音させてもらいました。

―何故、曲をピアノで行こうと?

サンボという名前のトイプードルがうちにいたんですけど、15年生きてくれたんですが、去年の10月、ちょうどこのアルバムを作っている頃にお葬式があって。家族でサンボを見送っている時間の空がものすごく印象的で、そういうタイトルにしたんです。ちょうど作曲期間中で、葬儀屋さんが「では2時間後ぐらいに…」って言われて、その間にピアノで作ってた曲です。

―愛犬のサンボに捧げた曲だったんですね。

そうですね。まあ、あんまりしんみりせず、笑いをくれ続けたサンボにありがとうみたいな曲です。

―そう考えると1枚のアルバムの中にサンボへの曲やJリーグの25周年の曲、刑事物の曲と……よく一枚のアルバムにまとめましたね。

なかなか振り幅の広いアルバムですよね。この2年間の中で「出会い、再会、別れ」を通じてできた大切な12曲が収録されています。この間、リリース前だったんですけど、このアルバムのライブをやったんです。日本的な「花鳥風月」をやってから「じゃあ次は……」って「【Re:birth】」にいくと、我ながら『すげぇリフだな!』みたいな(笑)。でも、アルバムとしてはそれが1枚にうまく収まっていますので、その振り幅も含めて楽しんでほしいですね。



<リリース情報>


春畑道哉 New Album
『Continue』
発売中
■CD Online Shop/Download:https://smar.lnk.to/jkCjxLY

DISC 1【CD】
<Track List>
01.Every day is a new day(feat.根本要【Stardust Revue】)
02.Daybreak Highway 
03.花鳥風月   ※TBS「じょんのび日本遺産」エンディングテーマ曲
04.【Re:birth】 ※AXN 海外ドラマ「リーサル・ウェポン」シーズン2 吹替版エンディングテーマ
05.東京classical  
06.FULL MOON BOOGIE  
07.J’S THEME(Jのテーマ)25th ver. ※Jリーグオフィシャルテーマソング
08.Symphony Blue  ※雲海酒造 本格麦焼酎「いいともBLUE」CMテーマソング
09.Midnight Snow 
10. Fly to the world 
11.空 
12. Continue(feat.宮本笑里) ※TBS「じょんのび日本遺産」メインテーマ曲
*【Re:birth】の「:」は長 (発音記号)が正式表記/タイトルには 【  】 も含む

DISC 2【LIVE Blu-ray/LIVE DVD】(初回生産限定盤のみLIVE映像付)
「MICHIYA HARUHATA LIVE AROUND 2018 Continue」(at. 昭和女子大学 人見記念講堂 2018.12.20)

<Track List>
01. LIFE 
02. Sparkling Heaven  
03. Mother Ship  
04. Mermaid’s Kiss 
05. Color of Life 
06. Symphony Blue 
07.空
08. Continue(feat.宮本笑里)
09.【Re:birth】
10. Straight to My Heart 
11.青いコンバーチブル 
12.花鳥風月  
13. J’S THEME(Jのテーマ)25th ver. 
14. JAGUAR ’13

★オフィシャルサイト/SNS
・春畑道哉 HP:https://www.sonymusic.co.jp/artist/MichiyaHaruhata/
・春畑道哉 公式LINE:@haruhatamichiya(https://line.me/R/ti/p/%40haruhatamichiya
・TUBE Official Facebook:https://www.facebook.com/TUBE
・TUBE Twitter:https://twitter.com/tube__official

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE