2019年アカデミー賞予測、誰が取るのか?誰が取るべきなのか?

外国語映画賞
『カペナウム』レバノン
『COLD WAR あの歌、2つの心』ポーランド
『Never Look Away(原題)』ドイツ
『ROMA/ ローマ』メキシコ
『万引き家族』日本

韓国映画の『バーニング』が選ばれていないのは愚の骨頂だ、と思うのは我々だけだろうか? イ・チャンドン監督は、観客の記憶に映像を焼き付けるすべを心得ているというのに。実際のノミネーション作品は、それはそれでそそられはする。それでも問題が残る――『ROMA/ ローマ』は作品賞を受賞しつつ、外国語映画賞も受賞できるだろうか? あるいは、富の分配の精神で、別の候補作品にオスカーが渡されるだろうか?

本命:『ROMA/ ローマ』
アルフォンソ・キュアロンの回想録がいくつオスカーを獲得するかには興味がない――全部門制覇してしかるべきだ。

大穴:『COLD WAR あの歌、2つの心』
今年『ROMA/ ローマ』がなかったら、パヴェウ・パヴリコフスキ監督の激しい人間ドラマが難なく勝利を収めていたことだろう。胸に迫る日本の『万引き家族』が鼻差といったところか。だが今年は『ROMA/ ローマ』がある。ゆけ、キュアロン!

長編アニメーション部門
『インクレディブル・ファミリー』
『犬ヶ島』
『未来のミライ』
『シュガー・ラッシュ:オンライン』
『スパイダーマン:スパイダーバース』

かつては形式だけの賞だったのが、今ではアニメーションの天才が実写の映画人を食うようになった。ブラッド・バードは『インクレディブル・ファミリー』で確実に続編の呪いを打ち破った。ディズニー/ ピクサーがこの7年間連続受賞しているが、そろそろ劇的な変化を期待したいところだ。

本命:『スパイダーマン:スパイダーバース』
最先端の視覚効果をちりばめたハラハラどきどきの作品で、ソニー・アニメーションは自分たちも大手スタジオと肩を並べられることを証明した。我らがクモ男は、この作品ではハーフの若いストリートアーティストとして登場し、誰もが胸のうちにスーパーヒーローを秘めていることを教えてくれる。アニメーション界に、真の新風が吹き込まれた。

大穴:『犬ヶ島』
ウェス・アンダーソンは黒澤明、市川崑、小津安二郎らの作品にインスパイアされ、島流しにされた犬の物語を、日本を舞台に描いた。文化の盗用? そうかもしれない。だが、アンダーソンによるストップアニメーションは魔法のような効果を上げ、政治的なメタファも盛り込みながら、ほほえましい物語に仕上がった。

Translated by Akiko Kato

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