2019年アカデミー賞予測、誰が取るのか?誰が取るべきなのか?

助演男優賞
マハーシャラ・アリ『グリーン・ブック』
アダム・ドライバー『ブラック・クランズマン』
サム・エリオット『アリー/ スター誕生』
リチャード・E・グラント『ある女流作家の罪と罰』
サム・ロックウェル『バイス』

我々だったら、『ビューティフル・ボーイ』に出ていた22歳のティモシー・シャラメと、『ブラックパンサー』の32歳、マイケル・B・ジョーダンのいずれかを推していただろう――だが、どちらもノミネートされず……(溜息)。だが朗報もある。74歳のエリオットが初ノミネートされたことだ。これまであまり評価されなかった名優は、ブラッドリー・クーパーの兄役として登場したわずかなシーンで、キラリと光る名演技を見せた。もう2回ほど出番があれば、受賞もありえたかもしれない。『バイス』でジョージ・Wを演じたロックウェルにいたっては、もっと出番は少ない。だが彼は、昨年『スリー・ビルボード』ですでに受賞済み。ドライバーに関しては、白人の彼が『ブラック・クランズマン』で受賞するというのはどうもしっくりこない。ということで、予想はこちら。

本命:マハーシャラ・アリ
実在の人物を描くにあたり、意図的に正確さを欠いた点に関しては不満もありつつ、オスカー選考委員は『グリーン・ブック』を心底気に入っているようだ。それゆえに、おそらくアカデミーはアリに2つ目のオスカー像を与えるだろう。2016年『ムーンライト』で勝ち取ったオスカー像と合わせて、ブックエンドにしてください。お気に召しませんか? そんなはずはありませんよね。

大穴:リチャード・E・グラント
スワジランドとイギリスにルーツを持つ彼は、メリッサ・マッカーシーの飲んだくれの共犯者として、俳優デビューとなった1987年の名作『ウィズネイルと僕』で見せたコメディとシリアス両方の力量を発揮した。驚くべきことに、グラントにとってこれがオスカー初ノミネーション。アカデミーに告ぐ。たっぷり償ってやりなさい。

助演女優賞
エイミー・アダムス『バイス』
マリーナ・デ・タビラ『ROMA/ ローマ』
レジーナ・キング『ビール・ストリートの恋人たち』
エマ・ストーン『女王陛下のお気に入り』
レイチェル・ワイズ『女王陛下のお気に入り』

『クワイエット・プレイス』のエミリー・ブラントがノミネートされていないことに納得のいかない現役俳優たちは、全米映画俳優組合賞で彼女を称え、アカデミーに思い知らせてやった。ブラントも決して気を悪くしてはいけない。アダムスなどは6度もノミネートされながら、いまだに受賞していないのだから。『バイス』のリン・チェイニー役で流れを変えられるか? 見込み薄だが、可能性はゼロではない。初ノミネートのデ・タビラとオスカー女優のストーンには申し訳ないが、勝敗の行方はこのようになりそうだ。

本命:レジーナ・キング
キングに否定的な見方をする人々は、彼女は映画俳優組合賞でも英国アカデミーでもノミネートされていない、と指摘したがる。興行成績が今一つだった『ビール・ストリートの恋人たち』に至っては、作品賞にもノミネートされていない。それがどうした。愛娘のフィアンセを、でっちあげのレイプ容疑から救うために戦う母を演じたキングの一人勝ちだ。

大穴:レイチェル・ワイズ
今年の最多ノミネーションは、『女王陛下のお気に入り』と『ROMA/ ローマ』がともに10部門で並んだ。アン女王の側近役を演じたワイズの見ごたえのある演技を推す声は高い。何事にもひるまず――セックス、復讐、暴力――男社会で女性が権力を手にするまでを見せてくれた。テーマに関して言えば、トランプ氏のツイートと同様、時機を心得ている。

Translated by Akiko Kato

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