2019年アカデミー賞予測、誰が取るのか?誰が取るべきなのか?

撮影賞
『情報陛下のお気に入り』
『Never Look Away(原題)』
『ROMA/ ローマ』
『アリー/ スター誕生』
『COLD WAR あの歌、2つの心』

覚えているだろうか、昨年アカデミーが『君の名前で僕を読んで』の撮影監督、サヨムプー・ムックディプロームをあえてノミネーションから外したことを? 間抜けな彼らはまたもや、タイの巨匠の作品『サスペリア』に見て見ぬふりをした。韓国映画『バーニング』の撮影監督「ホン・ギョンピョが見せた、神業級の照明もスルーした。レイチェル・モリソンも――昨年『マッドバウンド 哀しき友情』で女性初の撮影賞にノミネートされた――『ブラックパンサー』で伝説的な技を披露したのに、肩透かしを食らった。性差別的なアカデミーの男性陣は、女性勢力の増大が気に入らないらしい。まだまだ言いたいことはあるが、この辺で賞の予想に移るとしよう……

本命:『ROMA/ ローマ』
アルフォンソ・キュアロン監督は当初、1971年当時メキシコシティで過ごした幼少期の物語を撮影するにあたり、彼の右腕エマヌエル・“チボ”・ルベツキと再びタッグを組むつもりだった。だがチボのスケジュールが合わず、自ら撮影監督を兼ねることにした。そうして生まれたモノクロ映像は、驚くような透明感と豊かな感受性にあふれ、他の候補者の受賞は不可能に思えるほどだ。

大穴:『COLD WAR あの歌、2つの心』
この部門でキュアロンに敵う者がいるとすれば、ポーランド人の撮影監督ウカシュ・ジャルだろう。何十年にもわたる激しい愛の変遷を描いた『COLD WAR あの歌、2つの心』の映像は、モノクロならではの力強さで観客をあっと言わせることに成功した。

長編ドキュメンタリー
『Free Solo(原題)』
『Hale County This Morning, This Evening(原題)』
『Minding the Gap(原題)』
『Of Fathers and Sons(原題)』
『RBG(原題)』

さあ、みなさんご一緒に。いったい全体、ミスター・ロジャースはどこへ行ったの?! ちびっこ諸君の人気者、フレッド・ロジャースを描いたモーガン・ネヴィルの印象的なドキュメンタリー映画『Won’t You Be My Neighbor(原題)』は、観客からも批評家からも愛された作品だった。だが明らかに、アカデミーからはウケなかったらしい。そういえば去年アカデミーが、霊長類学者ジェーン・グドールを題材にしたブレット・モーガンの大ヒット作品『Jane(原題)』をノミネーションから外したのは記憶に新しいところだ。今年のノミネーションを決定したドキュメンタリー部門選考委員会は、とんでもないバカだ。彼らの曇った眼の前を、数少ない至極の作品が通り過ぎてゆく。

本命:『Free Solo』
天才スケーターを追いかけたビング・リュー監督のドキュメンタリー『Minding the Gap』には申し訳ないが、本命は『Free Solo』。映画版ナショナル・ジオグラフィックの主人公は、ロープやハーネス、ハーケンといった便利な道具、果ては相棒さえも必要としない孤高の登山家アレックス・オノルド。常識に抗い、サバイバルを生業とする1人の男の物語だ。彼の姿を過呼吸状態で見守ることだろう。

大穴:『RBG』
ミスター・ロジャース以外に大衆から愛されている人物といえば、最高裁判所のルース・ベイダー・ギンズバーグ判事をおいて他にいない。熱烈なファンの間ではノートリアスRBGの名で知られている。ジュリー・コーエンとベッツィー・ウェストによるこの作品は、司法制度とフェミニズムのスーパーヒーローの真実を教えてくれる。しかと見よ。だが、お慰みの拍手は結構。

Translated by Akiko Kato

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