国連報告「女性にとって最も危険な場所」は自宅

2017年、シカゴのノース・アベニュー・ビーチで、家庭内暴力の被害者を偲んで2500本のキャンドルが灯された。(Photo by Bilgin Sasmaz/Anadolu Agency/Getty Images)

2017年に起きた殺人事件で、女性被害者の半数以上が親密なパートナーもしくは近親者によって殺されていたことが、国連薬物犯罪事務局の最新調査で判明した。

昨年、全世界での他殺による女性被害者は計8万7000人。そのうち58パーセントにあたるおよそ5万人、平均すると1時間に6人の女性が、身近な人間によって殺されていたことになる。

「男女間による女性および少女の殺人件数」と題したこの調査は、国連が世界規模で行っている「世界における他殺の研究報告書」の中の一つ。詳細は2019年初旬に公開される予定だ。今回の調査結果は、2012年に行われた前回の調査よりも増加傾向にあることが明らかになった。2012年、恋人や家族によって殺された世界の女性被害者は4万8000人、女性被害者全体の47パーセントだった。

「この研究からも明らかなように、男女間での女性や少女の他殺件数は、国の経済状況に関わらず各地でいまだ大きな影を落としている」と、調査レポートは指摘する。調査によれば、恋人によって殺された女性の割合が最も高いのはアフリカおよび南北アメリカ大陸。最も割合が低いのはヨーロッパだった。「殺人被害者の大半は男性だが、彼らは面識のない他人から殺されているのに対し、女性の場合は知人による犯行がはるかに上回る傾向にある」


図解:国連薬物犯罪事務局(UNODC)の調査レポートより

全世界の全殺人被害者のうち、80パーセントは男性。一方、恋人によって殺された被害者の82パーセントは、女性が占めている。

さらに調査では、こうした他殺は偶発的なものではなく、長期にわたって虐待がエスカレートした結果によることも判明。アメリカではよく聞く話だが、恋人による虐待が殺人に発展するケースが頻発し、後を絶たない。銃の乱射事件でも、犯人の狙いは女性の恋人や元恋人、あるいは家族のメンバーで、偶然居合わせた罪のない人々が巻き添えになっている。

銃による暴力の撲滅運動「Everytown for Gun Safety(すべての街を銃の危険から守ろう)」によれば、2009年から2016年にかけてアメリカで起きた銃乱射事件のうち54パーセントで、犯人の恋人または家族が命を落としている。こうした関連性に対するメディアの関心はここ数年高まっているものの、家庭内暴力の加害者による銃の所有を制限することに関しては、いまだ理解が進まず、取り締まりも不十分なのが現状だ。

「調査によれば、女性に対する暴力の撲滅に向けた法規制や政策が強化されているにも関わらず、恋人や近親者による殺人の女性被害者の保護救済という意味では、大きな改善が見られない」。男女間における女性および少女の殺人件数レポートで、国連はこのようにまとめている。「今回の調査により、効果的な犯罪防止策と、女性に対する暴力への刑事司法措置が必要なのは明らかだ」。

Translated by Akiko Kato

RECOMMENDEDおすすめの記事


Current ISSUE

RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事