中川翔子×ヒグチユウコ 人気画家の創作源に迫る

ヒグチユウコとの対談に臨んだ中川翔子(Photo by Shuya Nakano Styling by Aya Omura Hair and Make-up by Toh)



中川:諸星大二郎先生ともお仕事されてますよね?

ヒグチ:そうなんです。うちのネコはボリスっていう名前なんですが、これはボリス・ヴィアンの「ボリス」と、諸星先生の『栞と紙魚子』で主人公・栞ちゃんが飼っているネコの「ボリス」から来ているんです。それもあって、諸星先生とは『諸星大二郎 ―怪を語り、快を生み出す― <大増補新版>』というムックが出るときにコラボをさせていただきました。これがその原画です。『バイオの黙示録』はオススメですよ。1巻で完結するのですが、本当に素晴らしい内容で。

中川:いやあ、知らなかったです。ありがとうございます。原画、本当に細かいですね。この細かい線が一発描きだなんて。紙は何を使っているんですか?

ヒグチ:和紙なんですよ、よかったら触ってみてください。

中川:わあ、結構しっかりした紙質ですね。下書きは鉛筆でされるんですか?

ヒグチ:そうです。ただ、消しゴムをたくさんかけてしまうと紙が傷むので、下絵をしっかり描いてトレースしてからペン入れする人もいますが、私はそれをやっていなくて一発描きなんです。それで失敗することも、もちろんありますけど。

中川:絵の具は水彩なんですね。何を使っていらっしゃるのですか?

ヒグチ:ホルベイン画材の「透明水彩絵具」という普通のやつです(笑)。実はホルベインともコラボしていて、赤い箱に入った12色セットなんですが。水彩絵の具って、小学生の頃に使ってたやつは顔料が少ないから固まったら元に戻りにくいのですが、ホルベインは固まったらお水をつけるだけでまた使える。めちゃくちゃコスパいいですよ(笑)。漫画家さんやイラストレーターさんは、「この色はこんなふうに出す」というのをかなり細かく表にしたりしてますが、私は一切そういうことをしてないので、結構テキトーです。


Photo by Shuya Nakano

中川:最近、デジタルでばっかり絵を描いていたので、アナログの質感を忘れていました……すごい!

ヒグチ:この筆もオススメですよ。穂先を収納できるので持ち運びも便利だし、ものすごく長持ちするんです。ホルベインの「50R」といって、サイズも豊富にあります。

中川:最近、自分には今死んだら生きた証が何もないことに気づいて。やっぱり原画の残る何かを、落書きでもいいから描きたいんです。……これ、真似っこしていいですか?

ヒグチ:もちろん! ホルベインのスタッフには中川翔子ファンもいるみたいですよ。

中川:え、そうなんですか? 恐縮です……。こういう、持ち運びができる筆をお持ちでいらっしゃるということは、例えば外出先とかでも絵を描くこともあります?

ヒグチ:そうですね、いつも持ち歩いていて。例えば今日もこれから出版社へ行くのですが、直しを入れつつデザイナーさんと一気にやらないと終わらないというか、全ての作業をいっぺんにやったほうが効率良いということで缶詰めになる予定です(笑)。

中川:缶詰! 大変だ……。

ヒグチ:いや、でもそのほうがラクかもしれない。お茶も出るし(笑)。だから、デジタルの人たちと似たような感覚だと思いますよ。私も紙とペンがあればどこでも描けるし、顔出しさえしないで済むなら、むしろイベントなども積極的にやっていきたいんですよね(笑)。

中川:そういえば、糸井さんのインタビューでは鳥のお面を被っていましたね(笑)。

ヒグチ:羽海野チカちゃんもコンドウアキちゃんも、オーダーした自前のお面を持っているんですよ(笑)。一昨年、『MOE』という雑誌で座談会をしたときは、みんなでそのお面を被って出ました(笑)。名久井直子ちゃんは唯一顔出しOKの人だったんですが、急遽仮装して。アダムス・ファミリーの「カズンイット」をイメージして作ってもらってましたね。私だけ、amazonで買った1000円ちょっとのやつだったんですが(笑)。

中川:本当に、「面白いことやろう」って考えている人たちの集まりなのですね。しかも皆さん、SNSとかで好きなことや楽しいこと、惜しげもなく披露してくださるじゃないですか。今回も、こうやって画材まで惜しげもなく教えてくださったり、世のため人のために発信してくださっているのが本当にありがたいです。次から次へと作品を発表されてますが、お休みは確保されていますか?

ヒグチ:あまり休みは必要じゃなくて(笑)。

中川:ええー!

ヒグチ:中川さんも、お仕事の合間にも絵を描いていらっしゃるじゃないですか。

中川:でも、私の場合は趣味でしかないから……。

ヒグチ:いやいや、同じですよ。

中川:でも、好きなお仕事でも締め切りが迫ってくると嫌になりませんか?

ヒグチ:嫌な仕事はしないから(笑)。描く内容が好きじゃないものは、受けないようにしていますね。ありがたいことに、今はそれで成り立っているので。だから、仕事で「嫌だな」と思うことはないんですよ。ただ、「締め切りがないとやらない」っていうところはありますね。締め切りの近いものから片付けていく感じなので(笑)、「まだ大丈夫か」と思ったらいつまで経っても手つかずのままかも。

※インタビューの続きはこちらでチェックできます。


撮影:井上佐由紀

ヒグチユウコ
画家・絵本作家。東京都在住。東京を中心に定期的に個展開催しつつ、ファッションブランドや画材メーカー等、さまざまな企業とのコラボを展開している。近作は『いらないねこ』(白泉社)、『型抜きPOSTCARD BOOK』(グラフィック社)。ほかにも、『せかいいちのねこ』(白泉社)、『ふたりのねこ』(祥伝社)、『ギュスターヴくん』(白泉社)、『ヒグチユウコ作品集』(グラフィック社)など、多数の著書を出版。
http://higuchiyuko.com/


Photo by Shuya Nakano

中川翔子
女優・タレント・歌手・声優・イラストレーターなど、多方面で活躍。東京2020大会マスコット審査員や、2025年万博誘致スペシャルサポーターとしても活動中。音楽活動では、11月28日にニューシングル「blue moon」をリリース。作詞にも携わり、大切な人との絆を描いた本作は、人気テレビアニメ「ゾイドワイルド」の10月期エンディングテーマに決定している。また12月20日に4年連続のクリスマスディナーショーをザ・プリンスパークタワー東京にて開催予定。さらに、11月2日公開のマーベル映画『ヴェノム』の日本語吹替版で、主役の彼女で重要な役であるアン・ウェイングを演じる。
http://www.shokotan.jp/

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