映画『寝ても覚めても』監督とtofubeatsが語る「最高の恋愛小説」映画化への挑戦

映画『寝ても覚めても』監督・濱口竜介(右)と、音楽を担当したtofubeats(左)(Photo by Takanori Kuroda)


──朝子役の唐田さんは、これが本格演技デビューなんですよね。とてもフレッシュでした。

tofubeats:なんていうか……不思議な方ですよね(笑)。映画の中のイメージと、普段の唐田さんがあまりにもギャップがあって。

濱口:でも、唐田さんって本質的には朝子に近いんじゃないかって思いましたね(笑)。

tofubeats:うわあ……(笑)。そういう意味では、この映画ってめっちゃ怖いですよね。ていうか、濱口監督ってそういうのが「見える」んですよ。ドキュメンタリーを撮ってきた方なので、おそらく唐田さんの中にあった「朝子」を見抜いてたんじゃないかって。

──確かに、この映画自体が唐田さんのドキュメンタリーっぽくもあって。映画が進むにつれて、唐田さんがどんどん覚醒していくのが伝わってくるんですよね。

tofubeats:まさに。『ハッピーアワー』を観た時にも思ったんですけど、女性って何を考えているのか分からんと。マジで思わされる。今回もそうだから、濱口さんはずっと女性のミステリアスさ、深遠さみたいなところを表現してきたし、そういうものを持っている人を選んでくるんだなって思いました。


©2018 映画「寝ても覚めても」製作委員会/ COMME DES CINÉMAS

──そういえば『ハッピーアワー』に登場する女性4人も、ほぼ映画初主演だったんですよね?

濱口:そうですね。

tofubeats:『ハッピーアワー』、マジで震えたからなあ……(笑)。しかも、濱口監督は女性サイドの目線なんですよね。今回、カンヌ映画祭の挨拶でも「僕は全面的に朝子を支持します」と断言されていて。あれにも感動しました。

濱口:あははは。よくそんなのチェックしてましたね(笑)。でも、確かに原作を読んだときから、この朝子という女性に惹かれていました。エドワード・ヤン監督の『牯嶺街少年殺人事件』の最後に、女の子が「わたしはこの世界と同じよ。変えられないわ」みたいなこと言うじゃないですか。あれもものすごく感銘を受けました(笑)。

tofubeats:そういう、理屈じゃない女性というのが濱口さんはきっと愛おしいんでしょうね。

──そのお話を踏まえて、もう一度『寝ても覚めても』のラストシーンを見たら、また違う印象を受けそうです。tofuさんに音楽をオファーした経緯は?

濱口:実は、前作の『ハッピーアワー』という映画でtofuさんとはご縁があって。あの映画の舞台が神戸ということもあり、ウェブの企画で話をさせてもらったことがあるんです。それがきっかけで、tofuさんの音楽をよく聴くようになっていて。普通にファンだったんですよね。なので、サントラを誰にお願いするかのスタッフ会議の時に、アシスタントからtofuさんの名前が出た時は、「それはいいアイデアだ!」って即決でした(笑)。

──tofuさんにとって、サントラの仕事は初体験だったそうですね。

tofubeats:映画の主題歌を担当したことはあったのですが、劇伴まで手がけたのは初めてで。これまで特に「サントラをやってみたい」と思ったこともなかったんです。ちょっと別世界っていう印象があったんですよ。本格的なスコアが書けなきゃ無理だろうとも思っていたし。なので、オファーをいただいた時にはシンプルにビックリしましたね(笑)。「監督は一体何を考えてるんだ?」くらいに思ったかも。

濱口:そうだったんだ(笑)。

tofubeats:でも、せっかく頂いたお話ですし、やってみることで何か発見があるかもと思って引き受けることにしました。

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