Crossfaithインタビュー「俺らはアミューズメント的な存在でありたくない」

―(笑)。Hiroさんは今回のアルバムのテーマである“個の覚醒”をどんなふうに咀嚼していますか?

Hiro:今の世界で “個の覚醒”とは“知る欲求”じゃないかなと思うんですね。今ってどんどん“知ること”が自動化されていってると思うんです。SNSではいろんな意見、問題が飛び交っていて、それを自分のものにすることが出来るわけです。でも、その意見や情報の種選択はある程度誘導されていると思う。だから能動的ではなく、主体的にというか本能的に本当に知ることがその人らしさの第一歩なのかなって思います。“個の覚醒”=“知ること”に対しての自発的な欲求を皆が持つことじゃないですかね。

―そこは頷けますね。ところで、Teruさんがさっき言っていたように人口知能が音楽を作り時代が来ているわけですが、人口知能が作る音楽と人間が作る音楽との差異はどこにあると思いますか? Crossfaithのコンポーザーの一人でもあるKazukiさんいかがですか?

Kazuki:そもそもAIを作ったのは人なわけですよね? なので、なぜ人はAIに曲作らせようと思ったんやろう?ってことを考えますね。何か目的を見出したからAIを使って曲を書かせるわけです。具体的に言えば、AIの方が早く出来上がるからコスパもよくて商品としていいわけです。で、そうした曲が評価されるようなマーケットができるわけで。なので、3年ぶりにアルバムをリリースする俺たちの作品とは根本的に違うのかなぁと思うんです。それが心情的なAIと人間の曲の違いですかね。もう少し客観的な違いとしては、人は間違える。間違えたくなくても間違える。でも人口知能は間違えろ!って言われないと間違わない。つまり、矛盾があるのも人やと思うんです。悪いと思っているけどやってしまうのも人やと思うし。で、そこが人間の欠点だと思ってる人はAIに完璧を求めて正しいことばっかりさせようと思うんです。僕は人が作り出す作品、そこには間違いや矛盾があって、そこに作品としての深さを感じるんです。その一方でAIの書くほうがわかりやすいって言う人もおるんやろうなとか思うし。ただ、少なくてもCrossfaithがAIの書いた曲を演奏することはないと僕は思っていますね。

―ドラマーのTatsuyaさんはどうですか? ドラムってドラムマシーンができたときからドラマーは不要になる論がずっとあったので。


Tatsuya:AIが作るものと人が作るものの違いは?っていう質問を聞いたときに最初に思ったのが、選択することと完成度が違うんだろうなっていうことです。完成度でいったら、AIはプログラミングされたもののなかで完結するので完成したものを作ると思うんです。でも人の場合、何かを作る時に“どれがベストなんや”とかめちゃくちゃ悩むし考える。で、悩んだ結果選択するものも変わってくると思うんですよね。そういう選択が人間とAIの違いなんだと思うんです。つまり、人間の創作は、完ぺきではない精度+不確かな選択……なんだと思うんです。だから、人間の作るものは、AIに比べると未熟だけど、それゆえに個性が出るのかなって感じています。

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