サブライムのセルフタイトルアルバムが色褪せない理由

サブライム・ウィズ・ロームは、ノウェルのクラシック曲を彼らなりに演奏しているが、やはりオリジナルに勝るものはない。それを証明するように、2016年6月、Geffen/UMeがSublimeのリマスター盤をリリースした。これはバンドのスタジオ・アルバム3枚、ノウェルの死後にリリースされた複数のコンピレーション、ライブ録音とアコースティック録音の音源、バンドの初期のEP『Jah Won’t Pay the Bills』、アナログ盤のLP13枚入のボックス・セットだ。

若い頃にアナログ盤コレクターだったトロイにとって、このリリースは本人よりもアーティストとしてのレガシーが長生きしている夫に対する最高の賛辞となった。一方、ガウとウィルソンにとって、このリリースは彼ら自身が素晴らしい音楽を作ったバンドのメンバーだった証明書であり、最初のボタンの掛け違いを正す機会でもある。特にガウは、あれだけダブ・アーティストに影響を受けていたのに、Sublimeがアナログ盤を一枚も出していなかった事実に愕然としたという。

「このアルバムから3曲、あっちから3曲集めて『グレーティスト・ヒッツ』と銘打ってファンに提供する気はないね」とガウ。「それはやりたくないんだよ。俺たちはライブ・バンドで、ライブ・ミュージックを演奏するし、アルバムのダブ・ミックスみたいに、もっとクリエイティヴな方法に興味があるのさ」と、語った。

過去のレコードの再リリースによってサブライムの音楽を懐かしがる人たちは喜ぶだろうが、サブライム・ウィズ・ロームが引き続き存在すること自体が、本当は再リリースの必要性などないことの証明かもしれない。昔と変わらず、現代の子供たちも、自分が生まれるはるか前に解散したバンドを発掘する。彼らがサブライムに興味を持つきっかけが、最悪のタイミングで死んでしまったブラッドリー・ノウェルの噂を聞いたことかもしれない。不運のジャンキー、ノウェルが中毒になっていたドラッグは、曲作りの燃料であり、成熟を待たずに人生を終わらせた毒でもあったのだろう。

しかし、ノウェルの近親者にとって、バンドのサブライムも、アルバム『Sublime』も過去のものになっていない。その理由は、彼の人生の終わり方がどんな形であれ、生前のブラッドリー・ノウェルが最高の曲を作っているからだ。

トロイが言う。「彼の死に方は関係ないと思う。中には死に方が美化されるアーティストやミュージシャンもいるけど、ブラッドは違うわ。彼が作った音楽が何年経っても色褪せないからよ」と。

サブライム・ウィズ・ロームは、来たる5月27日(日)『GREENROOM FESTIVAL ’18』に出演する他、翌日の5月28日(月)には、恵比寿LIQUIDROOMにて単独来日公演が決定している。


『GREENROOM FESTIVAL ’18』
日程:2018年5月26日(土)、27日(日)
場所:横浜・赤レンガ地区
http://greenroom.jp/

Translated by Miki Nakayama

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