フジロックで初来日する全米No.1ラッパーのポスト・マローン、その素顔に迫った独占ルポ

2017年10月、アトランタのアンティークショップ「Highland Row Antiques」にて(Photo by Diwang Valdez)



吸っていたタバコをトイレの便器に投げ入れ、彼は長く付き合っているガールフレンドのアシュレンとシェアしているベッドルームに向かった。2人のベッドのすぐそばで床に横たわっている、ポンプアクションのモスバーグ製ショットガンについて彼はこう話す。「自宅での護身用にぴったりの銃さ」。枕の下から取り出したレーザーサイトを備えたFN ファイブセブンには、侵入者の目をくらませるためのストロボライトが搭載されている。別の枕の下に忍ばせてあったグロック19を手に取った彼はこう話す。「これはアシュレン用。扱いが簡単だからな」

「ホーリー・シット!」。思わずそう連呼していた筆者は、なぜこれほどの数の銃を所持しているのかという真っ当な疑問を、表現を変えながら何度も投げかけた。「趣味と護身目的を兼ねているからさ。世の中は物騒だからな」。彼はそう話す。「もしあんたが俺を攻撃すれば、もちろん俺はやり返す」。身の危険を感じたことがあるのかという問いに、彼は首を横に振った。「有名人として心構えみたいなもんさ。守るべきもの、そして仲間を、俺はたくさん抱えているんだ」

彼はこう続ける。「今の世の中はクソみたいな状況だ。人々の権利がどんどん奪われてる。ホワイトハウスがクソったれどもに牛耳られてるからな。トランプは支持しない。でも問題は奴だけじゃない。もっと悪いことが起きようとしている気がするんだよ」。取材の数週間前に起きたアメリカ史上最悪の銃乱射事件は、彼の考えに大きな影響を及ぼしていた。「人々が敏感になるのは当然さ。でも銃の所持はアメリカ国民に与えられた権利だ。コンサートに行くのにもビクビクするような今の状況は最低だけど、そこらじゅうにいる悪い奴らが、あらゆる手を尽くして武器を手に入れようとしていることは事実なんだよ」

ポスト・マローンと銃規制について議論することになるとは考えもしなかったが、筆者はラスベガスの銃撃犯がバンプストックと呼ばれる装置を使ってライフルを完全自動化していたことに触れ、そのような武器が世に出回ることの意義について疑問を投げかけた。マローンはどう返答すべきか熟考している様子だった。「さぁな……規制を細分化して強化させるとか、射撃場で仲間に使用目的について知らせるようにさせるとか?」。彼はさらに考えを巡らせながらも、最後には肩をすくめて笑ってこう話した。「俺に分かるもんか。俺はただ金を稼いで、外を出歩きたいだけさ」

パーティアニマルのイメージが強い彼だが、成功への渇望と憂いが入り混じった2015年発表のシングル「White Iverson」以降、彼の音楽は常に闇を垣間見せている。筆者がその点について指摘すると、彼は同意する。「俺はずっと孤独だし、いつだって不安を抱えてる」。頭を指で叩きながら、彼は笑ってこう話す。「このでっかい脳が、いろんな思考を扱ってるんだよ」

ポップチャートの頂点に君臨しながらも、彼はこう話す。「麻痺しちまってるだけさ」。彼は現状を楽しんでいないわけではない。「Rockstar」が首位を獲得したとき、彼はオリーブ・ガーデンでご馳走に囲まれながら、アシュレンと2人で祝杯をあげたという。「俺はオリーブ・ガーデンが大好きなんだ」。そう話す彼は、金色の「loubi for ever」の刺繍が施されたロゴが目を引く1700ドル相当のルブタンを含む、高級ローファーのコレクションを見せてくれた。「まったく履いてないんだけどな」。彼はニヤリとしてそう話す。

Translated by Masaaki Yoshida

RECOMMENDEDおすすめの記事


Current ISSUE

RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事