米アーティストたちが勧める「脱・スマホ」ライブとは何か:携帯ロックサービスの需要

ジャック・ホワイトは、2018年4月からスタートする自身のツアーは脱・スマホライブにすると発表した(photo by Sacha Lecca)


ボニー・レイットは「あれはとても気が散ることよ」という。彼女はコンサート中の写真撮影や動画撮影はしないようにファンにお願いしているが、最後のアンコールでは撮影を許可している。「ライブでは観客と私の間に神聖な空間が作られるけど、スマートフォンで撮影されていると、彼らの心と結びつくのが本当に難しいのよ」

一方で彼らに賛同しないスター・アーティストもいる。小さめの会場で、観客と近距離でライブを行うアーティストの場合、ステージから見える場所にスマートフォンがあるのを嫌うことはプロモーターたちも織り込み済みだ。しかし、若い世代のファンが多く、大きな会場でライブを行うポップ・スターたちにとって、スマートフォンは必須のツールである。あるコンサート・プロモーターはこう説明する。「ジャスティン・ティンバーレイクやドレイクなどのコンサートの場合は、スマートフォンによってファン同士が共有する体験が拡大し、ライアン・アダムスなどの場合は逆に減少するという傾向がある」

「アーティストたちが絶対にしたくないのは、ライブの最中に観客を外の世界から切り離すことだ。どんな状況であっても、SnapchatやInstagramが自由にできる回線容量がないだけで彼らは文句をいい出すからね」と、長年ナッシュビルでプロモーターをしているブロック・ジョーンズが教えてくれた。「観客はライブ中に投稿したいんだよ」と。EDM系フェスティバル企業LiveStyle社長でボーイズ・グループのホワイ・ドント・ウィーのマネージャーでもあるランディ・フィリップスは、スマートフォンを禁止するのは間違っているといって次のように続けた。「SNSとインターネットは自由の象徴だし、自由を制限するべきじゃない」と。


ジャック・ホワイト、ハイム、クリス・ロックらが使用するYondrのポーチ

Yondrはチケット1枚につき約2ドル(約220円)を上乗せして、自社スタッフを派遣している。ジャスティン・ティンバーレイクは、最近行ったアルバムの試聴会でYondrを使用した。また、2017年にはYondrの名前すら聞いたことのなかった多くのプロモーターが、一定数のアーティストたちがライブを行う時に求めるアイテムとして受け入れるようになっている。「身体検査要員を雇ってやるわけじゃない」と、シカゴのジャム・プロダクションズ副社長アンディ・サーザンがいう。「これはメーカーが熟慮して完成させた実証済みの製品だ」と。生徒のスマートフォンの使用を制限したい学校にもこの製品を提供しているドゥゴーニは、スマートフォンなしのコンサートを体験して欲しいと繰り返した。
「最初は奇妙に思うかもしれない。でも音楽に集中すると、そのコンサートは格別なものになる。きっと社会経験に等しい体験になるはずだから」と、Yondrユーザーであるハイムのマネージャーのジョン・リーバーバーグがつけ加えた。

Translated by Miki Nakayama

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