「裸のトランプ像」を仕掛けた無政府主義者のアーティスト集団とは?

米国内5都市にトランプの裸像が設置された(Photograph by Jason Goodrich)


ジンジャーによると、インディクラインの要望はごく限られたものだったそうだ。「本物そっくりで、実物より少し大きめという要望でした」と、ネバダ州の自宅からローリングストーン誌に語るジンジャー。「当然、睾丸は付けませんでした。彼らは、トランプには肝っ玉の小ささを、像には大統領らしさを求めたんです」。トランプの首振り人形を参考に、そして、身長6フィート5インチの友達をモデルにして、"垂れ下がったジジイのケツ"や大統領になるために必要な権力とコネクションを象徴するフリーメイソンの指環など、独自の作風をいくつか取り入れて、ジンジャーは制作に取り組んだ。

制作過程を記録するため、インディクラインのスポークスパーソンが数週間にわたりプロジェクトを視察した際、彼らが何かを掴んだと確信した。「彼の目がそう物語っていました」と、スポークスパーソンはジンジャーについて述懐する。「彼にはこれからやろうとすることが明確に見えていました」。唯一の介入があったのは最終段階の、像の仕上げについて決定する時だった。彼らは大理石調仕上げか、グリーンの錆びたブロンズのようなパティーナ(古さび)を検討していたが、まるでハルクのような仕上がりになってしまった。明るいオレンジ色の肌のような、トランプの分かりやすい特徴をシュールに強調したものを作ったが、なるべくリアルになるよう調整することにした。

ニューヨークを拠点に活動する写真家のジェイソン・グッドリッチとともに、チームはとあるスタジオで像の撮影を行った。しかし、追及したリアリズムに制作者たちが心から感動したのは、像が公の場に姿を現した時だった。「ポップな感じを出すために、ジンジャーは血管や静脈を描いていました」とスポークスマンは話す。「しかし、ユニオン・スクエアの緑を背景に像を見て、何から何まで本物そっくりで本当に驚きました」

 

トランプ像の制作者に抜擢されるまで、ジンジャーの仕事はお化け屋敷やホラーが中心だった。Courtesy of Ginger)

一般市民も、どうやら楽しんだようだ。各都市で、人々は像に群がり、自撮りして、一体誰がこんな離れ業をやってのけたんだとニュースのカメラにもったいぶって話した。サンフランシスコでは、ホームレスの男性が像にフェラチオし、謝った。俳優がじっと立っているのではと誤解する見物人もいたニューヨークでは、公園局が「市の公園内で許可なく起立させられたものには、たとえどんなに小さくても、確固たる措置を取ります」とツイートし、市長が「たとえ服を着ていても」トランプが嫌いだと像についてコメントした。ロサンゼルスでは、ロスフェリスのギャラリーの前に像が置かれ、像を撤去しないようオーナーが警官に申し入れたが、聞き入れられなかったため建物内に引き入れた。

Translation by Naoko Nozawa

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