レディオヘッドは、2003年に発売されたアルバム『ヘイル・トゥ・ザ・シーフ』制作の際、再びギターを活かし、やや伝統的なロック・アルバムを作る時期が来たと判断した。このアルバムに触れる初めての機会が得られたのは、アルバム発売の数週間前に『ゼア、ゼア』がシングルとして公開された時である。『The Boney King of Nowhere』という副題のついたこの曲は、グラミーの最優秀ロック・パフォーマンス賞にノミネートされたが、ウォーレン・ジヴォンとブルース・スプリングスティーンの『Disorder in the House』に受賞の座を奪われた。ザ・ホワイト・ストライプスの『Seven Nation Army』も同部門で受賞を逃したため、敗北したのは彼らだけではない。『ゼア、ゼア』は世界中のラジオで度々流され、『ヘイル・トゥ・ザ・シーフ』ツアーではショーのオープニング曲にされることが多かった。