同性愛公表の冬季五輪メダリスト、アダム・リッポンが選んだ第二の人生

Shana Naomi Krochmal | 2018/04/04 07:30

| 平昌冬季五輪・フィギュアスケート団体で銅メダルを獲得したアメリカのアダム・リッポン(Photo by Marianna Massey/Getty Images) |



「良いだけじゃダメで、完璧な演技をすることが本当に重要だった」

五輪開催中、リッポンが緊張していたのは、大口を叩いても許されるだけのスケーターであると証明しなければならなかったからだ。開会式でペンス米副大統領がアメリカ選手団を率いることにリッポンは異論を唱えた。「マイク・ペンスか? 同性愛の矯正セラピーに資金提供した、あのマイク・ペンス? 冗談だろう?」とUSA Todayに話した。

「自分が言ったことには責任を取らないとダメだったし、世界中が僕を見ていることも知っていたよ」と、注文したチーズバーガーとオニオンリングを取りに行くために人をかき分けながら、リッポンは愉快そうに話して、こう続けた。「良いだけじゃダメで、完璧な演技をすることが本当に重要だった。あのときの演技は僕が生まれたときからずっと待ち続けたものだったのさ」と。

そして、それが千載一遇のチャンスだということも彼は知っていた。28歳のリッポンは練習パートナーのネイサン・チェンよりも10歳上で、普通のスケーターであれば引退する年齢である。過去に二度オリンピック出場を逃したリッポンは、その後、驚異的なカムバックを繰り返した。2015年のSkating誌に掲載されたプロフィールで事もなげに同性愛を公表した後、2016年1月に彼は全米フィギュアスケート選手権で優勝を果たしたのである。


Photo by Chris McPherson for Rolling Stone

2018年の春、リッポンはスターズ・オン・アイスに参加してツアーを行い、ABCの番組『ダンシング・ウィズ・ザ・スターズ』への出演も検討している。また、VH1の番組『ル・ポールのドラァグ・レース』のジャッジになる予定だと既に公表している。リッポンはメディアの注目を集める立場にいることを認識し、その立場を活かして人々にとって耳の痛い意見を述べ、自分の立場を表明するつもりだという。

3月初めのアカデミー賞授賞式のレッドカーペットを歩く彼が、タキシードの下にレザー・ハーネスを着用していたのは偶然ではない。彼に対して興味津々な支持者やアンチにレザー・ハーネスを見せることで「自分がベッドでどんなことをするのか」を強制的に想像させたのである。そして、ヒューマン・ライツ・キャンペーンの授賞式では地味なスーツとノータイという姿でヴィジビリティー・アワード(LGBTの人権活動に貢献した人に送られる賞)を受賞した。
Translated by Miki Nakayama

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