ツタロックフェスの仕掛け人と兵庫慎司が語る「邦楽ロックの現場で起きてること」

Shinji Hyogo | 2018/03/12 08:00

| 写真左が「ツタロックフェス」のプロデューサーを務める前田博章、右が音楽ライターの兵庫慎司 |



前田:兵庫さん、2017年はフェスってどれくらい行きました?

兵庫:えーとねえ……、3月に「ビクターロック祭り」、4月に「ARABAKI ROCKFEST.」、5月にスガシカオの「スガフェス」とJAPAN JAM、6月に「TAICOCLUB」と「YATSUI FES.」、7月は「PEANUTS CAMP」と「FUJI ROCK FESTIVAL」、8月は「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」2週と「UKFC」と「SUMMERSONIC」、9月は大阪の「OTODAMA」と「氣志團万博」とくるりの「京都音楽博覧会」、10月は「ASAGIRI JAM」、あと11月にグッドモーニングアメリカの「八王子天狗祭」、あとは年末の「COUNTDOWN JAPAN」かな。

前田:行ってますねえ。フェスというもの自体の役割とか存在って、何か変わってきたところって感じました?

兵庫:感じますね。特に邦楽のフェスは、誰がどんな理由でやっているのかがはっきりしているフェスが残っている気がする。

前田:作り手の顔が見えるってことですか? でもそれ、昔から言われてましたよね。

兵庫:そうなんだけど、今「ARABAKI」「OTODAMA」に行くと、特に感じるの。たとえば2017年の「ARABAKI」は、6月9日に日本武道館ワンマンを控えたTheピーズのためにスペシャルな枠を作ったわけ。「OTODAMA」は2016年、フラワーカンパニーズからTHE COLLECTORSへの「日本武道館のタスキ」受け渡しイベントをやった。そういうことって、「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」では──。

前田:やるわけないですよね。どちらのバンドも、「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」の参加者のまんなかではない年齢層だし。

兵庫:それもあるけど、もしまんなかの年齢層だったとしてもやらないと思うんですよ。あそこまで巨大なフェスになると、ある程度の公共性みたいなものも求められるというか、どこかのバンドに肩入れすることって難しいでしょ。たとえば再結成したTHE YELLOW MONKEYが出演した2016年に、「イエモン復活祭」みたいなこと、「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」がやるかというと──。

前田:やらなかったし、そういう発想自体ないでしょうね。

兵庫:「ARABAKI」も「OTODAMA」も、地方のイベンターが作ってるフェスなのね。そうすると、規模がそこまで大きくなくて、アーティストとの距離が近い分、特定のバンドに肩入れすることも多くなって、そんなふうにフェスとしてのカラーが出て来るという結果になるんだなあ、と思った。ただ、「このバンドなら肩入れしても他のバンドがイヤな気持ちにならない」っていう線はちゃんと考えていると思うけど。

前田:あと、ラインナップの数の多さ、幅の広さにおいては、「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」が絶対的な存在ですしね。

兵庫:そう、だから、そこは目指さないというか、ほかに目指す場所があって作られているフェスがおもしろい存在になっているんだと思う。夢番地が山口でやっている「WILD BUNCH」や、四国でずっと続いてる「MONSTER baSH」や、あと老舗の「RISING SUN ROCK FESTIVAL」もそうだと思うし。たとえば、ディスクガレージが「DI:GA online」っていう音楽サイト、やってるじゃない?

前田:ああ、兵庫さん、書いてますよね。

兵庫:書いてるし、編集的なこともちょっとお手伝いしていて。あのサイトも「もっと独自のカラーを出したいよね」っていう話をよくするんだけど、難しいのが、アーティストのセレクトでカラーを出すことが不可能なんですよ。

前田:ディスクガレージのサイトですもんね。日本でいちばん大きいイベンター。

兵庫:そう、アイドルとか芝居とかアイスショーまでやっていて、本当に幅広いから。っていうことを考えていて、「ヴィンテージロックならカラー出せるんだけどな」って思って。

前田:確かに。「個人がやってる感」がある規模だから。

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