SUGIZOが20周年ライブで表現した陰と陽のメッセージ

12月6日、Zepp Tokyoでツアーファイナルを行ったSUGIZO

今年、ソロ活動20周年を迎えたSUGIZO。12月6日にZepp Tokyoで行われた、全国ツアーのファイナルをレポートする。

12月6日。
世間的には忘年会シーズンの到来のようで、酒場でサラリーマンの集団と出くわすこの時期。
酒はもちろん好きだし、忘れないとやっていけないことがあるのもわかるのだけど、このシーンズになると、みんな何故忘れることにこうも必死なのかと訝しくも思ってしまう。その一方でSUGIZOは忘れていけないことときちんと向かい合ってきた表現者だと思っている。もっと言えば、SUGIZOは忘れてはいけないことを積極的に音楽に閉じ込めてきた。特にソロに関してはそれが顕著だった気がする。だから……ありていに言えば、SUGIZOのソロはマスから受けることはなかった。

そんなSUGIZOのソロが今年で20周年を迎えた。
そして、20周年を記念したソロアルバム『ONENESS M』が11月29日にリリースされ、全国ツアーが開催され、この日、12月6日のZepp Tokyoでの公演がツアーファイナルだった。チケットはもちろん完売だったが、それより、このライブで放たれたメッセージが素晴らしかったので、このレポートではそのメッセージを中心に書き記す。

ライブは2部構成。
第1部は従来のSUGIZOのソロライブの濃縮版というセットリストで、そこにはSUGIZOが音楽を奏でる【理由】が込められていたと思う。SUGIZOが音楽を奏でる理由……それを言葉にすると、怒り、悲しみ、争い……ある種の陰であると思っている。実際、この日のライブでも中盤で演奏された「ENOLA GAY RELOADED」はそうした要素が凝縮された曲だ。「ENOLA GAY RELOADED」の前半はSUGIZOの怒り狂うようなギターが印象的で、更にSUGIZOのバックには、戦争や武器や子供たちの映像が映し出され、しかもSUGIZOもプレイの合間に<NO MORE NUKES  PLAY THE GUITAR>の旗を振った。

続く後半はサーチライトの様な照明が会場に放たれ中SUGIZOがプレイをする。演奏を補完するバックの映像はさらにハッキリと原爆・水爆のきのこ雲を映し出しているし、黒い衣装を纏ったダンサーが天井からつるされたロープを駆使してパフォーマンスを繰り広げる。それはまるで悪魔が人類の愚行をあざ笑っているかのようにも見えた。しかもSUGIZOのギターはまるで戦地に鳴り響く銃声のようだ。そして、映像に<NO MORE NUKES PRAY TO MUSIC>というメッセージが映し出されて「ENOLA GAY RELOADED」の演奏が終わった。

SUGIZOのライブがすごいのはこうしたメッセージを圧倒的な演奏の中で放ってくることだ。バンドメンバーはSUGIZOを含め4人だが、そのうちの2人がドラムとパーカッションの太鼓だ。このドラムとパーカッションの生のタイトなビートに支えられた、サイケでインダストリアルなインストダンスロックは、完全にオーディエンスを昇天させてくれる。

第1部は「IRA」から始まり「TELL ME WHY?」までの11曲。途中MCは1回。ノンストップでオーディエンスを〝昇天″させた。その中で、考えるより感じろ!と言わんばかりに、忘れてはいけないことを心の中に打ち込んできた。ただし、この1部での感覚は今までのSIGIZOのライヴで何度も味わってきた。今回のライブが凄かったのは続いての第2部でのメッセージとのコンビネーションだ。

10分ほどの休憩をはさんで始まった第2部は今回のアルバム『ONENESS M』の一部を再現する内容だった。『ONENESS M』は曲ごとにゲストヴォーカルを迎えている作りで、RYUICHI、川上洋平、京、K Dub Shine、TERU、Toshi、TOSHI-LOW、辻仁成、清春、MORRIEが参加している。その中からこの日は3人のヴォーカリストが駆け付けた。

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