ルー・リードの必聴アルバム

WILL HERMES | 2016/11/02 17:45

| 興奮状態のヴェルヴェット・アンダーグラウンド時代からワイルドなソロ時代、さらにコラボ作品まで、ルー・リードの膨大なディスコグラフィーから厳選した作品を徹底分析 (Photo Gijsbert Hanekroot/Redferns) |

ヴェルヴェット・アンダーグラウンド時代とソロ時代の代表作から隠れた名作まで、おすすめのアルバムを厳選。

ロックンロールのグランドマスター、ルー・リードのディスコグラフィーには、他にない強烈なインパクトを持つ作品もある。ザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのメンバーとして始まり、その後はソロ・アーティストとしてキャリアを重ねた彼は、ワイルドな実験的音楽から完璧なまでにストレートな作品まで、多種多様な作品を残した。ただ、リードは何よりも素晴らしいストーリーテラーだった。彼は他の誰よりも先駆けて、人間が発する驚くべき感情のほとばしりを詩的に表現した。トランスジェンダーのヒロインたち、ドラッグの話、ラヴストーリー、エレジー、ギター・ジャム、ドローン・ミュージックなど、ひとつ間違えば作品を壊しかねない要素を取り込んでアルバムを作った。しかしそれらは常に2歩先を行っていた。約50年のキャリアの中でリードは常に、ロックンロールと彼自身を変革し続けた。そしていつもその時点では、他の誰もリードのやっていることを理解できなかった。彼の作品はよく、一章一章をレコーディングした小説にも例えられた。彼の死から3年経ち、名盤の数々がリイシューされたが、ここでは彼の作品を厳選し、ひとつの参考書としてまとめた。

絶対聴くべきアルバム

『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ(原題:The Velvet Underground & Nico)』(1967年)
60年代を代表するリードのバンドのファースト・アルバム。ロックの歴史の中で最も偉大なデビュー・アルバムと言える。安っぽい殺し屋ソングライターとしてスキルを磨いたリードは、作品の中に慣習を無視した作風を持ち込んだ。ウェールズ出身のクラシック音楽の反逆者ジョン・ケイル、ドイツの女性ポップ歌手の先駆けクリスタ・“ニコ”・ペフゲン、郊外のロックギター学生スターリング・モリソン、DIYドラム・スタイリストのモー・タッカーと共にリードは、ジャンキーを1人称で歌った『ヘロイン(原題:Heroin)』や『僕は待ち人(原題:I’m Waiting for the Man)』、サドマゾ的なサイコドラマ『毛皮のヴィーナス(原題:Venus in Furs)』を制作し、ロックンロールをダンスフロアのティーンエイジャー向けの音楽から、アンダーグラウンドのストーリーやアヴァンギャルドな革新的音楽へと変え、無限の可能性を広めた。アンディ・ウォーホルがプロデュースした作品で、当初はなかなか受け入れられなかった。しかし後に、本アルバムから3ヵ月後にリリースされたビートルズの『サージェント・ペパーズ』に劣らぬ影響力のある作品として評価されている。

『ザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンド(原題:Velvet Underground)』(1969年)
こちらもヴェルヴェッツの代表作と言えるサード・アルバム。リードのより静かでロマンティックな技巧の光る作品で、最も挑発的で激しい時代と同じくらいパワフルなアルバム。(アンディ・ウォーホルの)ファクトリーに出入りしていたトランスジェンダーの女優キャンディ・ダーリングを歌った『キャンディ・セッズ(原題:Candy Says)』は、おそらく彼の最も優しい曲だろう。『ペイル・ブルー・アイズ(原題:Pale Blue Eyes)』と『ジーザス(原題:Jesus)』も素晴らしい曲だが、ギターソロに圧倒される『ホワット・ゴーズ・オン(原題:What Goes On)』や軽快な『ビギニング・トゥ・シー・ザ・ライト(原題:Beginning to See the Light)』は、彼の最もノリのよい代表的なロック曲と言える。本アルバムは、センシティヴ・パンクのバイブルとなっている。

『トランスフォーマー(原題:Transformer)』(1972年)

ソロ・アーティストとしての地位を確立した強烈なポップ・アルバム。ヴェルヴェッツの大ファンで、大ヒット作『ジギー・スターダスト』をリリースしたばかりのデヴィッド・ボウイもプロデュースに加わった。ボウイは、このアメリカの創造主をグラム・ロックの世界に引き戻した。『アンディの胸(原題:Andy’s Chest)』など何曲かはヴェルヴェッツ時代に書かれたものであるが、新たに作られた曲は必聴である。シナトラ張りのバラード『パーフェクト・デイ(原題:Perfect Day)』や、煙草の煙が漂うジャズ・キャバレーでの即興演奏を思わせる曲で、意外にも大ヒットした『ワイルド・サイドを歩け(原題:Walk on the Wild Side)』からは、アンディ・ウォーホルのファクトリー・ファミリーへのリードの思いが伝わってくる。ボウイはリードの生涯の友人であり、『ワイルド・サイド』はジャンルを超えた名曲となった。
Translation by Smokva Tokyo

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