ミイナ・オカベが語るサマソニと日本のルーツ、懐かしさを内包した歌が生まれるまで

Photo by YURIE PEPE

 
デンマークと日本にルーツを持つ、シンガー・ソングライターのミイナ・オカベ。デビューアルバム『Better Days』の収録曲「Every Second」はSNS上で100億回を超えるバイラルヒットを記録し、海外アーティストとしては異例となる国内ドラマ/アニメのタイアップも獲得。今夏にはサマーソニック初出演も決まり、8月19日には初ショーケースライブも控えている彼女が、音楽的ルーツや自然体のボーカル、緻密なプロダクションが光る最新シングル「Maybe One Day」の制作背景などを語ってくれた。

【写真ギャラリー】ミイナ・オカベ撮り下ろし(全13点)

パーソナルな曲を歌うこと/作ること

─「懐かしい」という日本語が好きだと、別のインタビューでお話していましたよね。親しみや切なさが共存するような、ミイナさんの音楽にも通じる言葉だと思います。

ミイナ:この言葉をうまく言い表す表現が英語にはないと思う。「nostalgia」もニュアンスが少し違う気がするし。子供の頃から慣れ親しんでいて、つい口にしちゃう言葉。デンマークにいる時でも、どこか親近感を覚えるとこの言葉をよく使っちゃう。母と英語で話している時でさえ、「懐かしい」は日本語になってしまうくらい。


Photo by YURIE PEPE

─以前は自分の声に対して批判的だったそうですが、どういったきっかけで自信を取り戻せたのでしょうか。

ミイナ:歌うことはずっと好きで、いつも私の人生の大きな一部だった。学校のコーラスやミュージカルに参加していたし、親からは、家じゅうどこでも私の歌が聞こえるって言われてたくらい。でも、高校時代には歌がすごく上手な生徒と自分を比べていた時期もあって。技術的な面で劣っているのがわかっていたから、歌手になりたいって人前でいう自信がなかった。でも、自分で曲を書きはじめて、自分の声に合わせたパーソナルな曲を歌うことで、だんだんと自信を持てるようになってきたんだ。以前、だれかに歌うことと作曲のどちらが好きか訊かれたことがあったんだけど、私にとっては両方とも切り離せない。パーソナルな自分の曲を歌うことが好きだし、みんなに私の歌を聴いてもらえるんだって思うと、作曲するのはすごく楽しい。

その話でいうと、エイミー・ワインハウスと私の音楽は似ていないけど、彼女からはソングライターとしていつも刺激をもらっている。彼女の声やスタイルは唯一無二で、ユニークな歌詞からは彼女の正直さが伝わってくる。彼女の音楽は、他人と自分を比較していた私にありのままの自分を表現すればいいんだって勇気を与えてくれた。


Photo by YURIE PEPE

─「Talk To Me」や「Every Second」などアコースティック・ギターにフォーカスする楽曲が近年増えている印象です。

ミイナ:ギターで曲を作りはじめるんだけど、初心を忘れないようにしたいから、ギターとボーカルだけの生っぽさを残すことはいつも大事にしてる。でも、その2曲はスタジオで録音して、サウンドもギターだけじゃないから、どちらかというとプロダクション寄りの曲かな。いろんなバリエーションを持たせることも好きで、ライブでもすごく感動的な曲のあとに突然ダンスミュージックが流れたりする突拍子のなさにワクワクするんだよね。




─2023年のEP『Spinning Around』からリズムのアプローチもより多彩になり、ソウル、R&Bからの影響が色濃くなっている気がしました。

ミイナ:大体は、特に準備なしでスタジオでプロデューサーと制作していて。ギターとピアノからはじめて、そのあとで他の楽器を足していく感じかな。正直なところ、リズムはプロデューサーに任せている部分でもある。チームは私の好みを理解してくれているし、すごく詳しいから。いつもセッションをはじめたときの気分から音楽を作っていく感じなんだよね。スタジオで「最近どんな音楽聴いてる?」「今日はどんな気分?」「気持ちいい天気だし、今日の天気みたいな曲を作ろう!」って、みんなと会話をしながら進めているよ。

Translated by Yuriko Banno, Natsumi Ueda

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE