オーロラが語るBring Me The Horizonとの共演秘話、最低な世界で「思いやり」を取り戻すために

Photo by Yukitaka Amemiya

 
2024年のサマーソニックの出演で、日本でのオーロラ(AURORA)の評価は確かなものとなった。そんな実感がある。これまでに行われたオーロラの日本公演は東京と千葉(2021年のスーパーソニック)だけだったが、今回は初めて大阪でもパフォーマンス。そして今月18日のサマーソニック東京会場では、MARINE STAGEのヘッドライナーを務めるブリング・ミー・ザ・ホライズンのステージにサプライズ出演して大勢の観客を沸かし、そのわずか10数分後にはSONIC STAGEで自身のパフォーマンスを始めるという離れ業をやってのけたのだ。

その内容は素晴らしいものだった。筆者は2019年の初来日公演から観てきたが、間違いなく今回がベスト。凝った映像の導入効果も抜群で、昨年2月の豊洲PIT公演から何もかもがスケールアップしていた。オーロラは6月に4thアルバム『What Happened To The Heart?』を発表したばかりだが、そこから披露された4曲が実に上手く機能し、とりわけ終盤の「Starvation」のトライバルなビートは多くの観客を躍らせながら引き込んだ。曲への入り込み方もこれまでとは比較にならないほどで、ライブアーティストとしての著しい成長を感じさせたものだった。

このインタビューは、SONIC STAGEに出演する2時間半前に行なわれたもので、約10分という短い時間ではあったが、争いの絶えない世界や破壊される地球への思い、それに対して“私たち”はどうあるべきかなど、考えを明確に話してくれた。互いを思いやること。それが何より大事だとオーロラは言う。そういえば、COVID19のパンデミック真っ只中だった2021年、海外アーティストの来日が叶わずにいたそのときにもオーロラはスーパーソニックに出演し、豪雨のなか多くの音楽ファンにパワーと癒しを与えてくれたものだ。「日本が大好きだから、なんだってする」と彼女はそう話していたが、それもまた思いやり。2025年2月には東京と大阪での単独公演も決定したオーロラの今の言葉を聞いてほしい。




Photo by Yukitaka Amemiya

―昨日(8月17日)はサマソニの大阪公演に出演されたんですよね。あなたにとって初めての大阪公演、いかがでしたか?

オーロラ:最高だった!( 日本語で)カンペキデス! オーディエンスのみんなの反応も想像以上で、ちょっとびっくりしちゃった。大阪はすごくいいところだったなぁ。道で会った人もとても親切で、美味しいお店を教えてくれたりして。いい思い出がたくさんできた。

―今夜はここ幕張でSONIC STAGEのトリを務めるわけですが、どんなライブにしたいですか?

オーロラ:たくさんのエモーション。たくさんの……(頬を指でなぞって「涙」のジェスチャー)。たくさんの笑顔。たくさんの自由。それからカオス! それらで満たしたい。




サマーソニック出演時のライブ写真 (C)SUMMER SONIC All Rights Reserved.

―『What Happened To The Heart?』が6月にリリースされました。このアルバムの楽曲は今回のライブでどんなふうに機能していますか?

オーロラ:それは観てのお楽しみ。でもライブで新曲をやるのは、いつもワクワクするんだ。音源通りにそのままやってもつまらないし、毎回毎回その場でしか体験できないライブならではのサウンドにしたいと思っている。何かが溢れてきて、偽りのないもの。生々しさが何より大事なんだよね。ライブパフォーマンスでは、私は剥き出しの感情を表現したい。

―ニューアルバムの曲がセットリストに加わったことで、ライブ全体のあり方やムードが変化しているというふうには感じますか?

オーロラ:その質問は嬉しいな。そう、それまでとまったく違うものになったんだよね。自分でも不思議に感じるくらい、ライブ全体のエネルギーが変わったんだ。オーディエンスの反応も以前と違っていて、より心をオープンにして聴いてくれるようになったというか。歌いながら、私とみんなとの間にスペシャルな何かが生まれているのを感じる。今作には怒りの感情がかなり詰まっているんだけど、その怒りのパワーを糧にステージ上で生々しい表現をすることができたら、いいライブになったと思えるんじゃないかな。う~ん、まだ上手くは説明できないけど、とにかく新曲が加わった今のライブは、以前とは何かが違っていて、それはいい兆しだと感じている。


Photo by Yukitaka Amemiya

―ところで、今夜MARINE STAGEのヘッドライナーを務めるブリング・ミー・ザ・ホライズンと「liMOusIne (feat. AURORA)」でコラボレーションしていましたよね。オリーはRollingStoneJapanのインタビューで「ドリーミーでハスキーでディープな声がほしかった」「新しいものを持ちこんで、この曲をネクストレベルまで持ち上げてくれるアーティストが必要だと思った」と話していました。コラボの経緯を教えてくれますか?

オーロラ:きっかけは私がパレスチナについての発言をしたこと。私は今世界で起きている不平等について、話したいこと、みんなに伝えたいことがたくさんあった。そうしたら彼からSNSにメッセージが送られてきて。私の行動と発言に賛同してくれたみたい。それで「ありがとう」「嬉しい」と返したら、「僕の曲を歌わない?」って返信がきたんだよね。

そのあと申し訳ないことにしばらく返信するのを忘れてしまって、彼は彼で忙しくしていて、で、そのやり取りから数週間後、私がロンドンにいたときに突然「今やろう!」って連絡があったの。それで彼のスタジオに行って、5時間でレコーディングしたってわけ。彼との制作はすごく楽しくて、あっという間にできちゃった。そのあと一緒に出掛けて、ディスコに行って、一晩中踊ったんだ。


―最高ですね。因みにブリング・ミー・ザ・ホライズンにはどんな印象を抱いていましたか?

オーロラ:オリーは特別な声の持ち主で、ボーカルテクニックは最高にクール。もうずっと大好きで、彼のこともバンドのこともすごくリスペクトしている。13歳の頃から彼らの音楽を聴いていたんだ。その頃はメタルにハマっていたから(笑)。オリーはすごく優しくて、メンバーのみんなも親切で、本当に素敵な人たち。

Translated by Natsumi Ueda

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE