indigo la Endツアー「藍衆」総括 かつてない進化を遂げたライブバンドとしての現在地

Photo by 鳥居洋介

4月21日の沖縄公演を終え、過去最大規模となる全国ツアー「藍衆」を完走したindigo la End。バンド及び川谷絵音を幾度となく取材してきた音楽ライター・金子厚武による、4月3日にNHKホールで開催された東京公演のレポートをお届けする。

【写真ギャラリー】indigo la Endツアー「藍衆」東京公演(全18点)

4月2日、indigo la Endがメジャーデビュー10周年の記念日を迎えた。この10年で彼らが発表してきたオリジナルアルバムは7作。2015年リリースのメジャー1stアルバム『幸せが溢れたら』から2019年の『濡れゆく私小説』までは毎年アルバムを出し続け、2021年2月に発表された『夜行秘密』にしても、おそらくパンデミックの影響がなければ2020年にリリースされていたはずだ。

川谷絵音にとってはゲスの極み乙女との2バンド同時メジャーデビューという異例の状況で、先に目に見える形で結果を残したのはゲスの極み乙女だったわけだが、その背景にはロックフェスの盛り上がりが少なからず関係していたと言えよう。しかし、ストリーミングサービスの浸透によってもともと2015年にリリースされていた「夏夜のマジック」がリバイバルヒットし、インディゴに追い風が吹くと、2023年1月に発表された「名前は片想い」はキャリア最大級のバイラルヒットを記録。もちろんツアーもコンスタントに行なってきたが、何より楽曲そのものの力によって10年間という長きに渡って上昇曲線を描き続けてきたことは特筆に値する。


川谷絵音(Photo by 鳥居洋介)


Photo by 鳥居洋介


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しかし、2年8カ月ぶりのリリースとなった最新アルバム『哀愁演劇』を経て、昨年12月にスタートした全国ツアー「TOUR 2023-2024 藍衆」はここに来て過去最長の全26公演。これは2022年11月に行われた日本武道館公演が影響しているようで、これまで「ツアーごとにキャパを大きくしていく」というバンドにとっての一般的な成功ルートに執着していなかった印象のインディゴが、結成12年目にしてメモリアルな舞台を経験したことにより、改めてライブという現場で音を届けることに意識的になったのだと考えられる。『哀愁演劇』がストリングスや鍵盤を多用せず、バンド4人の音をメインに仕上げられていたのも、このモードの表れと言えるはずだ。

今年は春フェスの「JAPAN JAM」と「VIVA LA ROCK」に続き、意外にも初出演となる「フジロックフェスティバル」(2021年は新型コロナウィルスの影響で直前にキャンセル)、さらには「RISING SUN ROCK FESTIVAL」への出演も決まっていて、12月1日にはバンドにとって過去最大キャパとなる横浜アリーナでのワンマン「トウヤノマジック vol.1」の開催も決定。つまり、現在のインディゴはライブバンドとしてこれまでになく脂が乗った状態にあり、「TOUR 2023-2024 藍衆」はそれを確かめる絶好の機会だった。

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