「ヒップホップ界の横綱」Bun Bが語るUGKの記憶、ビヨンセらとの共演、日本への想い

楽しく音楽を作ること、コラボレーションの魅力

―近年のあなたは、スタティック・セレクターとの『Trillstatik』シリーズやコーリー・モー(Cory Mo)と『Mo Trill』、レス(Le$)との『Distant』と、誰かとのコラボ作品を中心にリリースしている印象があります。ソロ作ではなく、コラボ作を多く作る理由は何かあるのでしょうか?

バン・B:コラボというか、昔はラッパーの作品は一人のプロデューサーとやることが多かったから、そういうやり方をやっているだけだよ。俺はプロデューサーではないから、どこかでビートを手に入れなくてはならない。スタティックもコーリーも、レスもプロデューサーだからね。そういう意味では全てがコラボなのかな。

―スタティック・セレクターとは三枚作っていますが、特別な相性の良さを感じたのでしょうか?

バン・B:スタティックとはめちゃくちゃ相性がいいね。ピンプ・Cを除くと、彼は最もレコーディングしてきた一人だ。友達だからね。お金の為とかではなく、カルチャーを盛り上げて貫くためにやっているし、やっていて楽しいんだ。




―コーリー・モーともかなり長く一緒に制作していますが、2022年作『Mo Trill』までコラボアルバムはなかったですよね。あのタイミングであのアルバムを制作したきっかけは何かあったのでしょうか?

バン・B:俺たちは沢山の曲を作っていたから、コーリー・モーがすごくリリースしたがっていたんだよね。すごく。だから楽しくやるために一旦リリースすることになったんだ。




―あなたはかなり多くの客演を迎えてアルバムを作る印象があります。こういった作りをする理由はなんなのでしょうか?

バン・B:もちろん一人でも作れるけど、楽しく作りたいからね。楽しく作って、新たな世代、地域のファンベースに聴いてもらえるチャンスがあるって最高なことだと思っているよ。

―スタティック・セレクターやコーリー・モーのようなプロデューサーとのアルバム制作において、あなたがビートのディレクションをすることはありますか? プロデューサーから送られてきたビートにラップを乗せていくような形でしょうか?

バン・B:ディレクションをすることはないけど、ただ提出されたビートにラップするわけでもないな。何曲も聴いて、自分にフィールするものを選ぶ感じだね。「ビートをこういう風に作ってくれ」とも言わない。プロデューサーの感覚を重視して生まれたビートが良いからね。自分と合わなそうなビートは次に聴く人に譲っているよ。

―あなたの作品には若手ラッパーもたびたび参加していますが、今気になっているラッパーは誰かいますか?

バン・B:今は沢山の若手と制作しているけど、興味があるのは全く違う人たちとパートナーを組んでの制作かな。『Yokozuna Trill』もそうだし。アフロビーツにも興味があるね。EDMのアーティストでもアフロジャックやデッドマウス、ディプロとか友達が沢山いるから何かできたら面白いと思っているよ。だから興味があるのは若手のラッパーだけではなくて、素晴らしい色々なジャンルのプロデューサーだね。

―例えばヤングボーイ・ネヴァー・ブロークアゲインなどの作品を聴いていると、オルガンを使ったソウルフルなビートにUGKの影響を感じることが多くあります。彼やロッド・ウェイヴなどのスタイルのルーツを辿るとUGKの行き着くのではないかと思うのですが、あなたは彼らの音楽をどのように聴いていますか?

バン・B:もちろん聴いたことはあるんだけど、正直に言うと若手の作る音楽を愛聴しているとは言えないな。ヤングボーイやロッド・ウェイヴとか若手の曲は若い世代に向けてのメッセージだから、ドライブとかでは聴かないんだ。でも、彼らの世代が俺たちのやってきたことを、今の世代に広めてくれるアイデアには本当に感謝しているよ。



―今回の来日は『Yokozuna Trill』のリリースツアーとのことですが、この作品を作ってみていかがでしたか?

バン・B:IITIGHT MUSICのShuがこのアイデアを持ってきてくれた時に、すごく良いと思ってやりたくなったんだ。アルバムがツアーを、ツアーがアルバムを盛り上げるという部分と、自分の曲を新しい人たちに聴いてもらうこと、自分のファンに新しい音を届けることは大好きだ。『Yokozuna Trill』は日本で活動しているプロデューサーと自分の音楽文化の交流だと覆っている。最高な作品に仕上がったよ。

―今回のツアーでは、どのようなライブをしたいと考えていますか?

バン・B:ぶちかましにステージに上がるよ。今回回るクラブには楽器やバンドは持ち込めないし、俺は楽器を弾かないから、来てくれるみんなとライブを思いきり楽しみたいと思っているよ。

―以前あなたのライブを観たことがあるのですが、UGKの曲をピンプ・Cのヴァースまで一人で歌っていたのが印象的、そして感動的でした。UGKの曲をパフォーマンスすることへの思いを聞かせてください。

バン・B:UGKのファン、ピンプ・Cのファン、バン・Bのファン、そうじゃない人も、コンサートに来てくれている全員で一体となって、UGK、ピンプ・C、バン・Bの曲を楽しんでもらうことに努めているよ。会場のみんなが歌ってくれると最高な空間になるからね。

―ピンプ・Cとの会話で、今も心に残っており、音楽活動に活きていることは何かありますか?

バン・B:音楽活動では常に自分でいるだけだよ。それが俺たちが意識していたことだからね。

―現在制作している作品が何かありましたら、言える範囲で教えてください。

バン・B:『Way Mo Trill』というコーリー・モーとの作品が、『Yokozuna Trill』の次に出るかな。『Trillstatik 4』の制作も進行中で、今年中に出る予定だよ。NYでレコーディングする予定だったけど、別の雰囲気を出すためにテキサスでレコーディングしようかと思っているんだ。あとはイーストコーストやウェストコースト、サウスの若手との制作かな。




BUN B ”YOKOZUNA TRILL RELEASE JAPAN TOUR”
2024年4月26日(金)東京・町田 MACHIDA CLASSIX
2024年4月27日(土)東京・渋谷DESEO
2024年4月28日(日)大阪・PURE
AFTER PARTY @ 大阪・MADAM WOO OSAKA
2024年4月30日(火)福島・#9
前売りチケット・詳細:https://www.2tight.jp/shopdetail/000000025805/


Bun B『Yokozuna Trill』
2024年4月26日(金)リリース
〈収録曲〉
Intro [Beats by Lil’Yukichi]
2. Brand New (feat. Lil Keke, Jessica) [Beats by DJ☆GO]
3. Yokozuna Trill [Beats by OVER KILL (FUJI TRILL & KNUX)]
4. On The Low [Beats by BOHEMIA LYNCH]
5. Lets Get To It [Beats by Koshy]
6. At Night (feat. Jay Worthy, Jack Freeman) [Beats by DJDEEQUITE]
7. Cherry Blossom [Beats by DJ RYOW & SPACE DUST CLUB]
8. Lets Get To It (Remix) (feat. Cz Tiger) [Beats by TRIGGA BEATZ]

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