リンダ・リンダズが語る「成長するってこと」 パンクと多様性、愛する音楽との繋がり

差別や偏見との闘い、トリビュート・アルバムを作るなら

―最近はどんな音楽がお気に入りですか?

ルシア:マネキン・プッシーの新作が凄くよかった。ビー・ユア・オウン・ペットやウィローもよく聴いてる。パンクだけじゃなくて、ミツキやフィオナ・アップルなんかもね。

エロイーズ:私は昔のバンドをよく掘ってる。それこそ『Chinatown Punk Wars』に出てきたようなバンドを。

でもそれだけじゃなくて、新しいバンドを聴くのも本当に楽しい。私の友達が在籍してるbeforeyouleaveってスクリーモ・バンドがいるんだけど、小さいライブハウスとかで彼らの演奏を聴くと、バンドの混じり気なしのエネルギーが感じられて最高なの。彼らからはとても大きな刺激を受けてる。

あと、通ってる高校でジャズ・コンボに所属していることもあって、最近はジャズを聴き始めてるかな。チャールス・ミンガスをよく聴いたり、ジョン・コルトレーンの『Ballads』を聴いたりしてる。音楽の趣味を広げていくと、様々なことを学べてとっても面白い。

ベラ:最近はサリー・シャピロをよく聴いてる。それと荒井由実。

ミラ:Spotifyの履歴を確認したんだけど、私が最もよく聴いているのはパラモア。その次がガール・イン・レッドだった。






―パラモアといえば、彼女達のリミックス・アルバム『Re: This Is Why』でリンダ・リンダズは「The News」をリミックスしています。非常にパンキッシュでかっこいい仕上がりですが、いわゆる普通のリミックスとは違うように聴こえます。このリミックスはどのように制作されたのですか?

ルシア:リミックスのやり方を知らないから、とにかく思いつくままにやってみた結果があれ(笑)。カウベルを加えてみたり、スペイン語で喋ってみたり……。

エロイーズ:ダブみたいな処理を加えたり、パワーコードを上から重ねたりとか。

ルシア:やっていて楽しかったし、いい感じに仕上げられたと思ってる。




―パラモアは今年のグラミー賞で、女性がフロントパーソンを務めるバンドとしては史上初となる最優秀ロック・アルバム賞を受賞しましたが、音楽業界における性差別は改善されてきていると思いますか?

エロイーズ:改善されてきてるとは思うけど、まだまだ差別は残っているように感じる。

ルシア:音楽だけに限らず、あらゆる分野で女性は過小評価され続けていると思う。過去の酷い差別を知るのはつらくもあるけれど、差別と闘ってきた人達の話を聞いて、歴史から学んで、より良い世界を私達で築いていくことはできるはず。私はそう信じてる。

―リンダ・リンダズとしての活動で差別を感じたことはありますか?

エロイーズ:「こんな子供達が本当に演奏できるのか?」なんて言われたこともあったし、自分達で曲を書いてないんじゃないかと疑われたこともあった。ライブ中に人種差別的なことを言われたりも。だからこそ、そういう差別をなくしていかないとね。

―トーキング・ヘッズの『Stop Making Sense』のトリビュート・アルバムにリンダ・リンダズも参加することが発表されましたが、もしリンダ・リンダズのトリビュート・アルバムが作られるとしたら、どんなアーティストにどの楽曲をカバーしてもらいたいですか?

ベラ:私が書いた曲の中からだったら、「Oh!」をカバーしてもらいたいな。「Oh!」」はリンダ・リンダズのアンセムの一つになった気がしてるから。アレンジの仕甲斐がある曲だとも思うし。

ルシア:それこそトーキング・ヘッズがカバーした「Oh!」なんてあったら聴いてみたい。

ミラ:私達の知り合いのアーティストがみんな参加してくれたら最高なんだけどね。

エロイーズ:私はジョニー・マラカ&ザ・マロッカーズに「Why」をカバーしてもらいたい。彼らのことが大好きだから。でも、究極の理想を言うなら、誰でも参加できるトリビュート・アルバムを作りたいな!

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Translated by Sachiko Yasue

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