バンドは人生そのもの、2ndアルバムの展望―レッド・クロスのキャリアを追ったドキュメンタリー映画『Born Innocent: The Redd Kross Story』にリンダ・リンダズも出演していると聞きました。レッド・クロスは兄弟が、リンダ・リンダズは姉妹が在籍しているパンク/パワーポップ・バンドで、共通点も多いように思います。レッド・クロスのどういうところに魅力を感じますか? また、映画への出演を依頼されてどう思いましたか?エロイーズ:レッド・クロスのことは超大好きだから出演依頼を受けた時は凄く嬉しかった。
ミラ:私達が子供の頃から聴いてきたバンドだし。
ルシア:マフスとも繋がりのあるバンドだしね(注:マフスのドラマーのロイ・マクドナルドはレッド・クロスの元メンバー)。
エロイーズ:しかも少年ナイフとも友達だし。レッド・クロスは元々はパンク・バンドだったわけだけど、そこに固執せずにポップな方向にも音楽性を拡大させていったりと、自分達が本当にやりたいことを追求し続けているところが偉大だと思う。「他人にどう思われようと構わない」という姿勢も含めてね。
(注:リンダ・リンダズの東京公演にはメルヴィンズのメンバーとして来日中だったレッド・クロスの
スティーヴン・マクドナルドが観客として足を運び、MVの撮影も行われた大阪公演では
少年ナイフの山野直子が観客を煽る特別MCとしてリンダ・リンダズのステージに登場する一幕もあった)
―レッド・クロスとリンダ・リンダズはどちらも10代のかなり早い内から活動を始めたバンドですが、今後リンダ・リンダズはバンドとしてどのようなキャリアを積んでいきたいと思っているのか教えてください。ルシア:そんなに深くは考えてなくて、音楽を作り続けてライブをずっと続けられればいいなと思ってる。
エロイーズ:まったくの無計画(笑)。
ルシア:今やっていることはとにかく楽しいし、バンドで日本に来れるなんて最高だしね。しかも学校を2週間もサボって(笑)。
エロイーズ:バンドを始めたことで、パラモアだったりヤー・ヤー・ヤーズだったりジョウブレイカーなんかと共演できたりしたわけだから、こんなに幸運なことはないと思う。彼らがずっと昔から現在に至るまで活動を続けているのにも勇気付けられる。彼らを見ていると、バンドが「若気の至り」とかじゃなくて人生そのものになっているのが素敵だな、と。私達もそんな風になれたらと思ってる。
―ベラさんは服飾デザイナーとしてのキャリアもスタートさせていますが、そういった個人的な進路とバンドの兼ね合いをどのように考えていらっしゃいますか?ベラ:まだ学生だし、デザイナーとしても駆け出しだけど、個人的な進路とバンドのキャリアは決して相反するものではないと考えてる。バンドとファッションは密接に関係していると思うし、好きなバンドにはクールな格好をしててもらいたいしね。でも、世の中には機能性に欠けてたり、すぐに破れたりする服も多いでしょ。だからデザイナーとしても私はバンドに貢献できるんじゃないかと思ってる。私の夢はバンドの為の服が作れるデザイナーになること。バンドで演奏するのは大好きだし、服を作るのも大好きだから、この2つを上手く並行していけたらなと願ってる。
リンダ・リンダズ来日公演のステージ衣装は、ベラが立ち上げたブランド「La Rosa de La Esquina」がデザインしたもの―2023年にリリースされた新曲「Too Many Things」と「Resolution/Revolution」を聴いて、サウンドが以前よりもハードになってきていると感じたのですが、どうしてそのような変化が生じたのか教えてください。ベラ:『Growing Up』の頃と比べると、私達も歳を重ねて、色々なことを経験して、音楽の趣味も広がってきた。その結果が曲にも表れたんだと思う。つまり成長したってこと!
―2ndアルバムはどんな内容になりそうですか?ルシア:私達が生まれて初めて書いた楽曲群が『Growing Up』には収録されてる。それが世に出て、みんなに気に入ってもらえたのは本当にクールな体験だった。そこから私達がどのように成長したのかを次のアルバムでは見せられると思う。「Too Many Things」と「Resolution/Revolution」はハードな感じだけど、アルバムではもっと色々なタイプの楽曲を用意してる。
ミラ:間違いなく1stアルバムよりいい作品になるはず。バンドとしての結束も強くなったし、ソングライターとしても成長できたと思うから。
エロイーズ:成長すれば、それが音楽の変化として表れてくると思う。そうやって変化していくのが音楽の面白さだとも思うし。私は以前よりもヘヴィな音楽が好きになってきてる。というのは、自分にとっての音楽はエモーションの大切な表現手段だから。普段の生活の中では抑圧されている感情も、音楽を通してなら吐き出すことができる。