安田レイが新作で描いた「愛の形」、10周年を経て刻んだ新たなスタート

─ピースフルで温かいバラード「声のカケラ」は中国のアニメ『烈⽕澆愁』の日本語吹替版エンディングテーマですね。これも原作を見て作られたんでしょうか。

中国語で日本語字幕つきのアニメを見させていただいて、自分と重なる部分を探していきました。戦うシーンもかっこよく描かれているので、最初は「戦い」をテーマにしようかなと思ったんですけど、ずっと見ていくと、実は過去につながりがあったんじゃないかとか、誰も知らない何かが過去にあったんじゃないかみたいなシーンがあって、「あ、過去とか記憶を歌詞にしてみてもいいかもしれないな」って思って、そこから歌詞を書いていきました。



─主人公二人の間に過去の縁があったと。

わたしはあんまり記憶力がよくないので(笑)、いろんなことを日々忘れてしまってはマネージャーさんに迷惑をかけるんですけど、大事な記憶ってちゃんと残っているな、って思う日がたまにあるんですね。仕事で失敗したり、失恋したり、なんかモヤモヤして調子が悪かったりすると不安な気持ちになるんですけど、そんなときにベッドで横になって「あーあ」ってなっていると、過去に出会ってきた人のことや、その人たちからもらった言葉がゆっくりフラッシュバックしてくる瞬間があるんです。振り回された言葉も、光をくれた言葉も、そのすべてがあったからこそ、わたしはいまの人生を選択してきたんだな、と思うんですよね。だから全部に意味があったのかもしれないな……って、いまになって言えることですけど。

─人生に無駄なことはなにひとつないと。だから “声のカケラ辿ってくよ” なんですね。

いろんな優しい言葉にいまもわたしは救われ続けているな、って思いながら歌詞を書きました。毎日忙しくしていると、人生を振り返る機会ってなかなかないですけど、この曲がそのきっかけになってくれたらいいなって思います。わたしもいろんなアーティストの曲を聴いてヒントをもらって考えたりとか、何かを思い出したりするので。

─素敵な思いを込めてあるんですね。

音楽の力ってすごいっていうか、自分ひとりではたどり着けないところまで記憶を遡らせてくれる気がするんですよね。この「声のカケラ」が誰かにとってそんな存在になってくれていたらいいなって思います。

─すばらしい。この曲では、さっきおっしゃったようにうっかり工夫して後で苦労したみたいな箇所はありますか?

わたし、テンポから少しずらして歌うのが大好きなんですよ。小さいころからR&Bのレイドバック気味な歌い方が好きなので。曲によってはそれが合わないものもあって、「声のカケラ」をずっとレイドバックで歌ったらたぶんみんな疲れちゃうと思うんですけど(笑)、時折、ちょっとだけテンポをずらす遊びをちょこちょこやっています。

Rolling Stone Japan 編集部

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