edhiii boiが語る、変幻自在のスタイルとビートチェンジで描き出すリアリティ

大人になるのが怖い

―「カメレオン」は、変幻自在な声色を操る自分のことを表しつつ、どちらかというと空想的なストーリーテリングを感じました。

edhiii boi:人生で初めて、映画を見て作りました。『蛇にピアス』、一番好きな映画です。最初の歌詞では空想的なことを言ってる部分が多かったんですけど、「Uiteru」の時と一緒で「何を言いたいのかわからない」って言われて、削ったところに、変幻自在なラップをすることとか、いろんな色を持っているとか、自分のことを足したという感じですね。

―そして「Higher Up」。Yackleさんとやりたいと思ったのはどういう想いからでしたか。

edhiii boi:アルバムを作り始める前からYackleくんとは出会っていて、何回かセッションしたり、ビートをもらったりしていたんです。でもそれは今回のアルバムに合わないなと思って、またイチから作っていきました。これはYackleくんとは仲が良いので言えるんですけど、できあがってきたものが、自分が伝えたリファレンスと全然違っていて。最初は歌える曲を作りたくて、なるべく単純なビートで、「洋楽」みたいなイメージと言っていたんです。でもこれが来て「何これ?」「リファレンスにはドラムなかったんだけどな」みたいな(笑)。でも最終的にはこれだけ完成度の高いものができたのでよかったなと思います。自分があまりやったことのない歌い方ができたり、ヴァース2ではスキルを見せられたり、まっすぐな歌詞も書けたので、いいものを作れたと思いますね。



―☆Takuさん、Iimoriさん、Yackleさんと、いろんなシーンの動きやトレンドの最先端をイチ早く見ている人たちからの「今edhiii boiがこれをやったら面白いんじゃないか」というアイデアとedhiiiさんの意志の掛け合わせが、このアルバムであるということですよね。Yackleさんがリファレンスとまったく違うビートを出してきたことも、きっとそういうところからの提案だったのだろうし。

edhiii boi:そうだと思いますね。Yackleくんも、合わないものは合わないとはっきりと言ってくれる人なので。

―“大人になるのが怖かったりもしている最近”というラインもありますが……怖いですか?

edhiii boi:めっちゃ怖いですね。最近思ったのは、大人って、そんなに僕たちと変わらないのかなということで。今までは大人っていうと、すごくちゃんとしていて、というイメージだったんですけど。別に変わらないのかなって思ったし、大人になった瞬間に何かが変わるわけでもないんだろうなって。あと年上の友達が増えて、「上手く使われてるんだろうな」と思う出来事があったり。あと「お酒で失敗したんだよね」という話を聞いたりすると怖いなと思ったりもしますね。

―おっしゃるように、変わらないと思います。ちゃんとしようとしてるだけで、中身は変わらないと思う(笑)。「おともだち」は、前作『edhiii boi is here』との架け橋を担うような、1stとモードが近い仕上がりですよね。

edhiii boi:そうですね。アルバムの中で最初に制作が始まった曲です。途中からフックをロックに変えてもらったり、ギターソロを入れてもらったりしました。「Forever Friend」(1stアルバム収録曲)は地元の友達に書いた曲なんですけど、「おともだち」は、東京に出てきてから出会った友達に向けた楽曲です。ほぼほぼ、今年の夏にあった出来事、そのまんまって感じですね。“食べきれない量のご飯お残し無し”というのは、友達が中華屋さんに連れていってくれたんですけど、僕、結構食べる方なので、調子乗って頼みまくったら、とんでもない量が出てきちゃって。食べきれなくてお持ち帰りしたんですけど、5、6人で食べ切るのに朝までかかって。本当に量が多くて。……という出来事を書きました。曲を作り始めた日に「聴いてください」って友達に送ったら、「今車で聴いてます」って、ぶち上がってる動画を送ってきて。そこから“歌詞を覚え車の中で流し歌うFriends”って書いたりして。



―夢や創作の苦しみだけでなく、「友達」といった身近なことも音楽のテーマにして、すべてをリアルに書き綴っているのがこのアルバムやedhiii boiの多面的な面白さであるなと思います。

edhiii boi:上京する前は、友達が100人くらいいないと、客観的に見て自分が可哀そうなやつみたいに思っていたんですけど、東京に出てきてから出会った友達のおかげで、「そんなにいらないな」と思って。本当に自分を思ってくれてる人って何人だろう、自分のことを好きでいてくれて自分も好きでいれて信用できる人って何人だろう、と思った時に、本当に数人しかいなかった。そのお友達に書いた感じでした。

―ちなみに、学校の中にも気の合う友達がいますか?

edhiii boi:いますね。本当に、高校生らしい遊びをしたりします。

―今の「高校生らしい遊び」って何ですか?

edhiii boi:高校生らしくないかも。ファミレスにずっといますね。

―あ、それは高校生らしい(笑)。

edhiii boi:サイゼリヤでドリンクバー頼んで、ゲーセン行って、カラオケ行って、商店街で食べ歩きして、制服でコロッケ食べて、みたいな(笑)。

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