GOOD BYE APRILが語る林哲司とのタッグ、80sソウル・ミュージックへのアプローチ

GODD BYE APRIL

ネオ・シティポップというよりも、ネオ・ニューミュージックというべきか。2011年から活動する4人組のGOOD BYE APRILは、卓越した技術とセンスによるバンド・サウンドと、爽快なメロディを歌い上げることで地道にキャリアを積み上げてきたポップ・グループだ。しかし、今年に入ってから突如メジャー・デビューを発表。ベテラン作曲家の林哲司とタッグを組んだ「BRAND NEW MEMORY」でシティポップ・ファンを狂喜させたが、この度メジャー第2弾である新曲「サイレンスで踊りたい」をリリース。あらためてシティポップと真正面に向き合ったポップ・チューンに仕上がっている。彼らが今何を思いどこへ向かおうとしているのか。倉品翔(ヴォーカル、ギター、キーボード)、吉田卓史(ギター)、延本文音(ベース)、つのけん(ドラムス)という4人のメンバー全員に話を聞いた。

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―活動歴がすでに10年以上あるGOOD BYE APRILが、なぜメジャー・デビューにいたったのでしょうか。

倉品:もともと僕らはEMI(現:ユニバーサルミュージック)の新人発掘セクションで育成をしてもらっていたバンドだったんですが、諸事情でデビューの話が流れてしまって。でも当時のスタッフが最近の作品を聴いて、「いいじゃないか」ってことでいろんな人に声をかけてくださって、その中のひとりが日本クラウンのディレクターさんだったんです。去年の夏にそのディレクターさんがライヴを観に来てくれて、その時に「林哲司さんプロデュースでやりませんか」って言ってくれたんですよ。

―メジャー・デビューと同時に林哲司さんとのコラボが決まったと。

倉品:そうですね。「林さんとご一緒できるなら、ぜひチャレンジしたいです」って。

延本:実はメジャー・デビューに対してちょっと冷めていたんですよ。ディスクユニオンでかなりいい感じに自由にやらせてもらっていたし、やっと時代と自分たちのやりたいことも合致してきてやりがいもあったから、「自分たちは今さらメジャーでやらなくてもいいかな」みたいな。でも林さんの話が出た瞬間に「よろしくお願いします」って(笑)。

吉田:メジャーでなくても僕たちの好きなこととかやりたいことができていたんですが、林さんとコラボできるんだったらということで決めました。

―実際に「BRAND NEW MEMORY」は、どのようにして始まったんですか。



倉品:林さんも僕らの曲を聴いてくださって、プロデュースを即決していただいたみたいです。それでライヴを観に来ていただいて、そこからはトントン拍子に進みました。最初は僕らも曲を用意していたんですが、林さんも曲を書いてくださるという話になって、「良いんですか?」ってなって(笑)、林さんから3曲ほどデモをいただいたんです。ただ、純粋にその中で自分たちが一番いいと思った曲、自分たちのチャレンジになる選択をしようと思いました。それが「BRAND NEW MEMORY」だったんです。弾き語りのデモをいただいて、僕らで土台のアレンジをして、林さんとディスカッションしながら作っていきました。

―周りの反響はどうでしたか。メジャー・デビューだし、林さんとのコラボでもあるし、トピックとしては盛りだくさんですよね。

延本:意外と林さんの曲だって気付かなかったって人が多かったです(笑)。「倉品さんが作ったと思った」って。メジャー・デビューを発表した時、一部のファンの方からは「メジャー・デビューなのに自分たちの曲じゃないの?」っていう反応もあったんですが、「でも違和感ない」って言われました。純粋にみんな楽しんでくれました。

倉品:レコーディングの時のアシスタント・エンジニアさんがもともと僕らの曲を好きでいてくれたらしいんですが、録り終わるまで僕が書いた曲だと思っていたらしいんですよ(笑)。リリースしてからも林哲司さんの楽曲のファンの方がすごくたくさんいらっしゃって、そういった方たちからの熱いリアクションがありました。



―なるほど。よくメジャー・デビューして外部プロデューサーが入って、ガラッと変わって従来のファンが離れるみたいなことはなかったと。

倉品:僕らもそれを一番危惧していたし、デビュー曲が自分たちの曲じゃないというのはそういうリスクもあるのは分かっていました。でも、僕は林さんの曲に影響を受けて、自分の曲を作っていることを自覚していたので、林さんからいただいたメロディをちゃんと自分たちのものにできる自信があったんです。結果、アレンジも含め自分たちなりの形に持っていけたんじゃないかと思います。

Rolling Stone Japan 編集部

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