FLOが語るサマーソニック、R&B新時代を切り拓く3人のハーモニー

創作面とファッションのこだわり

ーFLOの楽曲制作のアプローチについても教えてください。MNEK(エメニケ)をはじめ、偉大なプロデューサーたちといつもどのように作業を進めているのでしょうか。

ステラ:MNEKは私たちのエグゼクティブ・プロデューサーのような立場で、全てに渡って見てくれている。つい先日もLAで1週間スタジオ・セッションがあったんだけど、まずプロデューサーが用意したいろんなビートを聴かせてもらうんだよね。あるいは、どんな曲を作りたいかみんなで話をする。その後メロディのアイデアをいろいろ歌ってみて、聴き返して良いと思ったのを選んで、メロディに合う歌詞を書いていく……という感じ。

ーあなたたちもかなりクリエイティブに関与しているんですね!

レネー:もちろん。それが私たちの強みだと思ってる。他にも得意なことはあるけど、核になるのは音楽を作っていくクリエイティブの部分。だから、音楽に関してはできるだけ全部に関わりたいと思ってるんだよね。

ーそういう姿勢は、どうやって芽生えたのでしょうか。ミッシーやビヨンセのような人たちがいたから、自然と?

ステラ:そうだね。それに他の人に書いてもらった場合、やっぱりどうしてもピンとこない部分があって。自分たちが何を感じているか、そして何を伝えたいかが分かるのは自分たちだけだから。

レネー:あとは、誰とやるか。これまで密接に仕事をしてきて、私たちのことをよくわかっている人たちとはやっぱりすごくやりやすい。



ーFLOの魅力の一つに、3人の高低差のある声を活かしたハーモニーもあると思います。素晴らしいハーモニーを聴かせるために、工夫していることはありますか?

レネー:私たちがグループを結成した一年後くらいのかなり早い段階から関わってくれているJoshua Alamuというボーカル・コーチがいるんだけど、彼が最高で。声の出し方や歌い方を指導してくれる他にも、ボーカルのアレンジもアドバイスをくれる。あと、私たちは調和を大事にしていて、三人の異なる声をどうやって一体化させるかを一番重要視してるんだよね。そのためには、お互いの声をちゃんと聴くことが大事。

ーちなみに、3人の間で音楽的な役割分担はあるんですか?

レネー:役割分担は特になくて、曲ごとに変わるかな。曲を作る時は、それぞれがまず何をしたいかという話をみんなでする。そうすると、どういうわけか大抵の場合、みんなの意見が大体一致するんだよね。例えば「私はサビ前のパートを歌いたい」と誰かが言ったら、もう一人が「いいんじゃない? 私はサビ前じゃなくてヴァースを歌いたいから、サビ前はあなたが歌ったら?」という具合に。すごくいい感じだよ。



ー「Cardboard Box」を筆頭に、FLOは歌詞の内容についても大きな支持を得ています。どういった点が共感を集めていると思いますか?

ステラ:それは、まず私たち自身が共感できる歌詞だからだと思う。私たちもリスナーと同じような世代で、毎日を生きていて直面するリアルなことを歌詞にしているからね。

ー歌詞はどうやって書くんですか?

レネー:歌詞を書くのは大好き。一番好きなのは、あるシチュエーションや気持ちをもとに、一つの作品に変えてしまうこと。最初のきっかけはただの会話だったり一つの単語だったりするかもしれないけど、それがきめ細かい物語の歌に生まれ変わる。ソングライティングはとてもパワフルで、美しくて、素敵。

ー歌詞も、みんなで意見を出し合って作ることが多いのでしょうか。

レネー:そう。FLOは一体感を大切にしているグループだから、歌う内容についてみんなが納得しないといけない。もし誰かが気になることがあったら、ちゃんと話し合うようにしてる。共通認識を持って、同じ視点を共有しながら書くようにしているよ。

ー自分たちが書いてきた中で、特にこれは気に入っているという歌詞はありますか?

レネー:「Fly Girl」の中で一番気に入っている歌詞は、“Why we got’em so pressed?”(彼らはなんでそんなに怒ってるの?)(笑)。なぜなら、これまでの曲ではここまで強気だったことがないから。男性だけに向けているわけじゃないところもすごく気に入ってる。ステラのお気に入りは?

ステラ:う〜ん……悩むね。「Cardboard Box」のブリッジはけっこう好き。


Photo by Conor Cunningham

ーあなたたちのY2Kファッションがとても素敵です。ネイルもとても派手で可愛いですよね。ステージやMVでのスタイリングは、どういった人に影響を受けているのでしょうか?

レネー:ファッションもリアーナからかなり影響を受けていると思う。彼女はファッションの女王だから。

ステラ:その通りだね。

レネー:私たちはどのプロジェクトでも、毎回ビデオを参考にしたりPintrestを使って自分たちの求めるイメージを探したりする。その後にスタイリストにブランドを提案することもあるし、彼女から提案をもらうこともある。そうやってみんなで話し合いながら決めていく。

ー特に好きなスタイルなどはありますか?

レネー:特にあるわけじゃないんだよね。Y2Kファッションだけが好きなわけでもない。それだと一つの型にはまってしまうから。私たちはまだまだ成長過程にあるので、もっともっといろんなものを試してみたいし冒険もしたい。

Translated by Yuriko Banno

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