全英1位のアーティストが語る、「時差11時間」超遠距離恋愛の大失恋、からの復活アルバム

「最悪の時でも、美しくかけがえのないものってある」

―今はストリーミングで音楽を聴く時代ですが、『+11 Hours』は「Intro」から始まって「Outro」で終わっているし、曲の流れにしても、映画のようなストーリー性があって、作品としてのアルバムという感じがスゴくしました。

コナー そうなんだ。僕はストーリーというものが常にすべての中心にあると思ってるし、映画、TV、音楽、演劇は、どれもストーリーが中心にあるんだよね。「Intro」と「Outro」では、僕が手放さなきゃいけない現実を表現してるんだ。彼女に会いにしょっちゅうオーストラリアに行ってたし、それが自分の人生にもなってたし、自分の時間をイギリスとオーストラリアで分けてたし、彼女がイギリスに来ることもあった。それをアルバムの中で表現したかったんだ。



―それにしても、長距離恋愛は大変ですよね。

コナー ひどいものだったよ。会えないし、そばにいてくれないし。FaceTimeで長時間話してると、会ってる気にはなるんだけど、現実の生活で一緒にいる感覚とは全く違う。相手が話したくない時には会話もできないんだ。そういう恋愛が終わってしまったことが、このアルバム全体のインスピレーションになってると言えるね。

―アルバムのどの曲も別れをテーマにしていますが、1曲1曲ごとに異なるヴァイブスで、異なるエモーションを、異なるシチュエーションで歌っていますよね。

コナー その通りだね。そういう風に作ったのも、別れ自体がそういう感じだからだ。朝起きて、「会えなくてさみしい」って思う日もあれば、「大嫌いだ。二度と会いたくない」って思う日もある。だからアルバムでも、自分が感じた様々な感情を描いてるし、自分がそこからどう抜け出したのかを描いてる。それで音楽の方も多様なものになったと思うんだ。常に変化する自分のムードを反映させたかったからね。

―「Enemies」は曲もリリックも切ないですけど、名曲ですね。「僕ら/敵同士になれるかな?/忘れようとするより/嫌いになったほうがいいから」なんて、かなり切ないです。

コナー この曲は大好きだね。彼女のことを忘れられないなら、嫌いになった方がいいって、本当に思ったんだ。それしか僕が前に進める方法はなかったんだよ。前に進むために考えた面白い視点だとは思うんだけど。



―「Storage」も名曲だと思いますが、彼女との思い出を「ストレージ」と表現しているのが面白いですね。確かに、その思い出はもう必要のないものだけれど、消したくても消せずにずっと残っているものだから。

コナー 間違いないね。彼女と別れた時、いろんな友達や仕事仲間と話をしたんだ。話しててわかったことがあって。一番傷ついたことは、彼女はもう自分の人生には存在しないのに、彼女のことはどんなディテールでも記憶として残ってることなんだ。それは本当につらかったね。彼女のことを知りたくて覚えたことばかりなんだよ。彼女が好きな映画とか、彼女が調子の悪い時に僕がすべきこととか。それがある日突然彼女がいなくなって、僕が覚えたことだけが残ってる。「ストレージ」と表現したのは、僕の脳の中はまだ彼女のことでいっぱいで、空きスペースがなくなったって感じたからなんだ。



―アルバムはどの曲もスゴくパーソナルなことを歌っているのですが、同時に、コナー自身は音楽で解放されたと思うし、聴き手にとっては寄り添ったものになっているんですよね。そこは制作していく中で意識しましたか?

コナー 最悪の時でも、美しくかけがえのないものってあるんだ。それが音楽として形になったんだと思う。めちゃくちゃひどいこととか、なかなか克服できないことがあっても、その反面で良いこともあるし、それが僕にとっては音楽になるんだ。乗り越えて、何とか理解して、自分が感じてることを知るための、僕なりのやり方になるんだ。だからこれはセラピーみたいなものだね。僕個人としても、音楽アーティストとしても、音楽を作ることがナンバー1の解決方法になるんだよ。

―今後の予定は?

コナー ツアーが続くし、フェスの出演も控えてる。6月にもオーストラリア・ツアーがあって、夏はヨーロッパで小規模のツアーもある。日本にも行きたいけど、日本でライブをやるからには、準備に時間をかけてちゃんとやりたいね。日本に行くことは、死ぬまでにやりたいことのリストに入ってるんだ。あと、今年はまだまだ新曲を出していく予定だ。音楽活動を楽しんでるし、新しいものはどんどんクリエイトしていきたい。

―音楽以外でやりたいことはありますか?

コナー ファッションも好きだから、自分のブランドでデザインをやったり、他のブランドとコラボをやったりしてみたい。あとは、自分のMV以外でも映像のディレクションをやってみたいね。

―恋愛映画とかどうですか?

コナー やるべきだろうね。悲しい恋愛ストーリーになると思うよ。ただ、終わりだけはハッピーエンドにしたいね(笑)。

―これからオーストラリア・ツアーが始まりますが、別れた彼女がライブに来ないといいですね。

コナー 本当だよ! 恐ろしいね。

―でも、もし本当にライブに来たら、新曲が生まれそうですけど。

コナー 間違いないね。タイトルは「I Can’t Believe You」か「I’m Not Glad You Came」かな(笑)。

<INFORMATION>


『+11 hours』
コナー・メイナード
エイベックス
配信中
https://avex.lnk.to/11hoursPR

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