Da-iCEが語る「歌の力」、整ったヒット曲を出すベストな環境

-その夢を実現する為にも重要なニューアルバム『SCENE』がこのたび完成しました。仕上がりにはどんな印象を持たれていますか?



工藤大輝:昨年、EPはリリースしているんですけど、フルアルバムは結構久しぶりで。その間に「CITRUS」から今日に至るまでの流れがあって。いろんなところでイベントをやって、ロックバンドからアイドルまで対バンを仕掛けていったりもして、新たにDa-iCEを知ってくれた人も多くなって、少しずつ僕らの立ち位置が変わっていく中で創ったアルバムなんです。なので、前々作も前作も「ダンス&ボーカルグループっぽくない」と言ってはいたんですけど、それにより拍車がかかっている楽曲群になっていると思いましたね。ダンス&ボーカルっぽくない曲で踊っているグループ=Da-iCE。そのイメージが出来上がると他と差別化ができていいなと思っていて、それを過去最も明確に形にすることができた作品だと思います。

-たしかに「この曲をどうパフォーマンスするのか」と思わせる楽曲ばかりだと感じました。

工藤大輝:僕らは歌謡曲をぎりぎりリアルタイムで聴いていた最後の世代なんですよ。それ以降の20代前半のダンス&ボーカルのグループたちは子供の頃からダンス&ボーカルの曲を聴いて育っているんです。だから歌の幅とか創る曲の幅は、そこにプロデューサーがいれば別ですけど、自分たちの内から出てくるモノに関してはかなりの差があると思っていて、そこが僕らの強みなんですよね。それを活かしていこうという結果が今回のアルバムになっている気がします。

花村想太:各々が制作をして、Da-iCEに合う楽曲をコンペでしっかり選んでいくんですけど、その曲たちに声入れをする際にいちばん意識するのは「J-POPを届ける。歌詞をしっかり伝える」ということで。それはダンスを先に始めたふたり(花村想太&大野雄大)じゃないからこそ出来ることだと思っているんです。ボーカリストとしてそれぞれが音楽を歌いたいと思って歩んできた道があるからこそ、歌の力=音源の力でも売っていけるものを目指していける。なので、まずはレコーディングの時点で100%のモノにして、そこからメンバー全員で踊って表現することで150%、200%に出来たらいいなと思いながら音源を創るので、そこは大きいのかなと思いますね。

-それゆえにダンス&ボーカルらしからぬ『SCENE』のような作品を生み出せるし、それをダンス&ボーカルのパフォーマンスに昇華することもできると。

花村想太:大輝くんが言うように、そもそも僕たちは今どきの若いダンス&ボーカルグループたちと歌い方が違うので。ふたりの発声も含めた歌唱表現には、歌謡曲を聴いていないと出せない味があるんです。その上で今のトレンドであるK-POPなどもしっかりと取り入れているつもりなので、それらを織り交ぜながら表現していけるところがDa-iCEの良さなのかなと思いますね。

-唯一無二にして最強の武器ですよね。Da-iCEのようなダンス&ボーカルグループが他に現れない理由が分かりました。

大野雄大:そもそも僕らが「ダンス&ボーカルとは?」を考えてやってきていないので。

花村想太:そこを意識して二十歳ぐらいまで歌ってきていないから、ダンス&ボーカルの概念に捕われようがなかったんですよ。どちらかと言うと、ボーカルグループに入るぐらいの勢いで人生を歩んできていたので。でも、今どきの若い世代はみんな「ダンスボーカリストになりたい」と思って練習しているじゃないですか。

大野雄大:今はダンスが子供の頃から身近になっていますからね。

-そんなDa-iCEのアイデンティティが超高純度で表現されたニューアルバム『SCENE』。世にどんな風に響いてほしいと思っていますか?

工藤大輝:想太がさっき言っていた「100%が150%、200%へ」という状況になったときにどういう広がり方をするのか。今作は有難いことにほとんどの曲にタイアップが付いていて、そういう意味でもマジで何が起こるか分からない状況ではあって、その予測不能な部分も含めてこのアルバムがDa-iCEにどんなストーリーをもたらしてくれるのか。あらゆる面で楽しみですね。あとは何より『SCENE』を手に取ってくれた人たち、耳にしてくれた人たちがこの作品のどんな部分を面白いと思ってくれるのか。すべて面白いと思ってくれたら最高ですけど、そういう実験を楽しんでいる感覚もありますね。

Rolling Stone Japan 編集部

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